相死相愛




































もし、倒れたら、死んでしまったなら
1歩目で、あーあとか、こんなものかとか、
そういう類の言葉で上手くごまかして、
2歩目で、結局、こいつもただの人間なんだって、
3歩目で、全部無かったことにするんだ

だから、何度も何度も願う
早く消えて欲しいから
自分の中の大半を支配されてるから、
それだけはわかるから。
だったら尚更、それが消えたらどうなるかなんて、
簡単に想像が出来る
何度も見てきたのだから、
ねえ、だから



「死んでよ、シズちゃん」



その見下したようなその目も、
その内、恐怖に変わるんだろ
どうせ、脅えて、逃げ出すんだろ
そうして、離れていったら、
やっぱりとか、溜息をついて
いつもの喪失感を煙でかき消すんだ

だから、何度も何度も願う
今すぐ消え去って欲しいから、
どうせ離れるなら、早い方がいい
でなければ、もう耐えられない気がする
恐怖する顔を、拒絶される目を見たくない
だから



「てめえが死ね、つーかぶっ殺す!!」



そうやって、何度も確かめ合う
死んでしまわないように、
離れていかないように、
何度も、何度も
この腕で、切っ先で、
痛いじゃすまない怪我をさせて
ほんの少しの罪悪感を
息すら止まりそうな寂寥感で、
雁字搦めにして
奮い立たせる
怖くて怖くて仕方が無い
それをお互いが理解していて
どっちが先に逃げ出すが
逃げ出さないように、逃げ出せないように
見張り続けてる
絡み続けてる
ずっと、
出来る限り長く、深く
だって、先に逃げ出されたら、
もう、生きていけないから
そんな存在が




「ほんと大っ嫌いだよ、シズちゃん」
「俺だって大っ嫌いなんだよ、臨也ぁ」




邪魔で、邪魔でしかたないのに
一頻り暴れて跡に触れる肌とか、
結局縋っているとか、
噛み付くようなキスとか
終わりが来ないようにとか、






この上なく




限りなく、




心の底から、







嗚呼、胸糞わるい