人間の基準
































一目見たときにわかった
これはやばいと

だって、目が合っただけで
焦がれて仕方なかった
ドロドロした感情が騒いで
全て飲み込みたくなるような衝動に駆られて

ほんの少し近づいただけで
惹かれていくのが気持ち悪くて
どうすれば、この感情を塗り替えられるか
考えた

だって、出来なかった
愛してるって言えなかった
こんなに人が愛しくて仕方ないのに
いつものことが出来なかった

いらない物はすぐに消す頭が
何歩歩いても
言うことを聞かなくて



考えた

君を愛せなかったら
人間を愛してることが嘘になってしまう
考えた

考えた

どうしたら

この気持ち悪い感情が消えるだろうかって

何度も何度も考えた

そうして

辿り着いた

ああ、そうだ


こうすればいい



こうすれば、俺は君を愛さなくていい





そうだろ?








「化け物」

「いぃざぁぁやぁ」

これでいい

そうやって、君は俺に殴りかかればいい

あとは

この痛みが


「コンクリートに穴開けるなんて、やっぱり化け物だねぇ」


君のその泣きそうな顔さえどうにかなれば

この痛みもきっと


「大っ嫌いだよ、シズちゃん」


消える筈