1-1≠0の定義
























それなりの経緯で作られて、
呼ばれるように殻を破いて
初めて目にした者を全てだと思うのが摂理



遠い記憶なのか、幼い夢なのか
どうしたの?
そう告げる女
人に好かれたいなら、
まず相手を好きにならないとね
母だったか、教師だったか、
それともやっぱり、夢だったのか


それは俺の絶対に。


人に好意を向ければ、
好意が返ってきて
たくさんの人に好きを向ければ、
好きが返ってきた
だったら、もっと人を好きになれば
もっと好きが返ってくる
もっと人を愛せば、
好きよりも大きな愛が返ってくる

そんなことを、ひたすら繰り返していく

「子供って単純だよね」
「なんだ?」
「独り言」

いくら愛しても
愛されないこともあったし
勿論、愛したくない人間もいて、
段々わからなくなって
全部都合よく埋めるにはどうしたらいいだろうって

そもそも俺は、何で愛情が欲しかったのか

ハリボテの愛に亀裂が入って、
ボロボロと崩れていった

「てめえは、愛してるって言えば何しても許されると思ってんだろ」
「・・・そうかもね」

相変わらず、さも当然のように確信を吐く
愛は絶対で、それ越える感情はきっと無くて
沢山の人に、沢山の愛を貰えば、幸せになれるじゃないか
とか、途方も無いことも考えたり

「子供って馬鹿だよね」
「ああ」

そう言った顔が曇る
治る傷をつけて、治らない傷を負って、
繰り返して


でも、そうやって傷つけた君が見つけたんだよ
傷ついた君だけが見つけたんだよ

愛し方を知らない君が、
俺を愛したんだよ

急に、頭を撫でられた

「やっぱりシズちゃんは愛せないなー」

無言ではあったけど、明らかに不満そうな顔

「愛って哲学とか宗教とかで、まあ種類は色々あるんだろうけど。
人間への愛と違うようでね。
そもそも、見返りを求めない愛は、恋愛じゃないんだって」
「はー」
また始まったと言わん顔
「恋愛に限っては、求めることが愛だっていう考えもあるんだよ」
「で?」
「これ何だと思う?」
「知るか」
「狂信的?遊戯的?それとも実利的?」
「あー、何言ってのかわかんねーけどよ。
こうやって手伸ばせば、触れられるし、
声出せば聞こえんだろ」
「ん?」
「てめえが何欲しいかなんて知らねーよ。
けど、話せば、まあ、通じないことも、ない・・・だろうから」
「うん」

また根本から覆して、
俺の質問は無視するわけね

「わかんだろ?」
右手が俺の髪を梳く
顔が近づいてくる
「ほら」
キスする気かな
顔、近い
「うん」
そして、触れる

ギブ・アンド・テイクか
「確かに、結果満たされればいいわけだから」
間違いではないのかな

色んな事があって、色んな物に触れて、壊して
理不尽な俺と、君がいて

「で、何が欲しいんだよ」
「わかるでしょ?」
両腕を伸ばして首に絡めるだけ
「ああ」
「シズちゃん、好きだよ。」
「ん」

意外とうまく、絡まりあっていく