言葉≠感情
「きらい」
「こりねえな」
言葉の奥の感情を読み取ってしまう
そんなシズちゃんが
「好き」
「どっちだよ」
ぎゅうっとしがみ付けば、柔らかいため息が髪にかかる
なんでわかるんだろう
なんで気づいたんだろう
「きらい?」
「いや」
「うるさい?」
「慣れた」
「なんで?」
「知るか」
言葉に意味は無くて、
触れた温度で汲み取っていく
理屈も言葉も跳ね除けて、
中の感情だけを引きずり出す
「シズちゃん、
もしかして、俺しゃべらなくてもいいんじゃない?」
「・・じゃあ、塞ぐか?」
「・・なんで?」
「使い道がないだろ、口の」
「・・・」
「なんだよ」
「そうだよね」
呆れ笑いの溜息が漏れる
「シズちゃんって、苦手だな」
「やっぱ、黙ってろよ」
「やだよ」
そうしたら、君の名前も、好きも言えなくなるじゃないか