互様





































嫌いで嫌いで仕方がないのに
こうやって、隣にいるだけで
イライラして
吐き気さえするのに
それなのに、
手の届く範囲にいないと落ち着かなくて
声の届く距離にいないと不安で

結局
こうやって、触れてしまう

「何?」
「知るか」
「・・そう」



こうやって、髪を撫でていないと落ち着かない
触れていないと落ち着かない


「あのさ、シズちゃん」
「あ゛?」
「くすぐったい」
「・・・」
「止めてよ」
「・・・」
「なんか用あるの?」
「ねえよ」
「・・・」
払う手を掴む

女みてえな手、爪

「なんだよ」
「・・・」
「もう、何?」
「なにが?」
「何か言いたいことあるんじゃないの?」
「ねえよ」
「あー、もうほんとムカつくよ」
「んだよ」
「あ、・・・構って欲しいとか?」
「ねえよ」
「・・・・」
「なんだよ」
「おいでー」
「死ね」
「はは、冗談だって。ってか、」
「おい」
「むしろこっちだよね」

読んでいた雑誌を適当に放って、
寄りかかってくる

「重い」
「はいはい」
「全く、言えば構ってあげるのに」
「嘘つけ」
「うん、嘘だよ」
「めんどくせー」
「拗ねない拗ねない、お互い様じゃない」

掴んでいた手が握り返してくるから、
髪にキスをした