タイミング





































さてと、あいつに見つかる前に・・


「シズちゃん、ほんとタイミング良すぎ」
「・・・」
「今日もう帰るだけなんだよね。見逃し、・・・ん?」

「何してんの?」
「・・・・」
「おーい」
「・・・・」
「俺わかってる?つか、見えてる?」
「・・・・」
「鼻利いてないんじゃ・・」
「黙れっ」

いきなり抱きしめられたまま、
動かない。



ってかボロボロだな
息荒いし
今日は俺なにもしてないけど。
つかま、他にも喧嘩吹っかけてくる奴はいるだろうし。
どうでもいいけど。


早く帰りたいのにな


「あのさ、どうしたの?なんて聞いてやんないよ」
「知ってる」
「だったら他あたれよ」
「黙れ」
ぐっときつくしまる
「あ、もしかして抱き殺すとか?
勘弁してよ、君冗談にならないから」

少し緩む

相当弱りまくってるな

これなら簡単に
簡単に付け入れる
簡単に
いくらでも救いの言葉を吐ける
簡単に堕とせる

「のに、なぁ・・」



抱き返す

「まあ、三枚でいいよ」
「んな金ねえよ」
「はは、知ってるよ」

抱きしめる腕に力がこもるから、
痛くなったら、背を軽く叩く
そうしたら、少し緩むから
その繰り返し。




「シズちゃんて、ほんとタイミングいいよね」