夜光



































君が望むなら

俺を選ぶなら



とかって、考えてみただけ
今日は雲が無くて、月が綺麗で
街灯よりも高いところで空を見上げれば
冷たく澄んだ空気の上
真っ暗な空がよく見える














そんな肌寒い空気を一瞬で吹き飛ばすのは、
もはや何なのかわからない、金属が飛ぶ音
「何避けてんだ」
「避けなきゃ当たるだろ」
「うるせえ、さっさと死ね」
「はあ、今俺月光浴してただけなんだけど」
「知るかよ」
「まだ何もしてないじゃない?」
ったく隣のビルにでも、飛び移るか。
「だから、うるせえって・・」
「・・・シズちゃん?」
何だろ、フラフラしてる?
ゆっくり伸びてくる手に捕まってみた。
「言ってん、だろ」
「う、わっ」
抱きしめられて、軽く体重がかかる。
「・・・眠ぃ」
「・・て、酒臭い。」
シズちゃんの髪が首にかかってくすぐったい
声が近くて、それもくすぐったい
「あー」
「あと、体温高い」
「ああ」
「酔ってるだろ」
「ボーナス出たからって、トムさんの奢り」
「そう。さぞ、楽しいお酒だっただろうね」
「別に」
「・・・」




「何拗ねてんだよ」
「何で俺が拗ねるんだよ」
「んだよ」
「・・ぅ」
シズちゃんが動くと、
首とか、肩とかに当たってた髪が一緒に離れる
「おら、その顔見てみろよ」
「は?」
シズちゃん顔が目の前にある
「ま、いい」
「なんだよ」
「お前、めんどくせぇんだよ」
「何が?」
「眠ぃし、だるいし、早く帰りてぇのに、態々来てやったんだよ」
喋りながら頭を撫でられる
「そういうのわかれよ」
「・・・そんなの」
「・・ふ」
軽く噴出して、声を抑えるように笑われる
「なんだよ」
「何照れてんだよ」
「・・っ、バカ・・・、ちょっと」
ゆるゆる体重がかかって、支えられず座り込む
「あー、ほんと眠ぃ」
「ここで寝る気?シズちゃんが風邪引かなくても、俺が風邪引くんだけど」
「・・・」
「ねえ」
「・・・ん」










夜空がきれいで


雲が無くて、


静かで、肌寒いのに温かくて
このまま、時間が止まったら
とか、






「あー、もうやだっ」
「・・・うるせえって」
抱きしめられる腕に力が込められて、
いよいよ動けなくなる
寝息が首にかかって、
「くすぐったいんだよ、ばか」
「・・・」
「シズちゃん」
柔らかい髪を指で梳く
「ん?」
「・・・おやすみ」
「ん」