安眠までの何か



































目が覚めて一番に浮かんだのは
だるい
二番目
軽い偏頭痛
三番目
煙草臭い

優しさなのか何なのか、
腕枕を払いのける
よく腕が痺れないものだ、流石化け物

枕を探すけど、見当たらない
隙間風の吹く部屋
出来る限る布団から出ないように、
「・・・ん?」
どういう経緯でそこにあるのか、
足で枕を掴む



さて、また次の眠りへ、と・・・


「!」
敷いていた枕が急に吹き飛び
目を開く間に、勢いよく抱き寄せられる

ったく、なんなんだよ
押しのけようとすると、途端腕の力が増す
もう
「シズちゃん」
「ん?」
「離して」
「・・・」
「・・トイレ」
「ん」
そう言うと、腕の力がゆるむ

布団から出るだけで風邪を引けるんじゃないかと思える寒さ
確か、今日0度以下だっけ

「・・・寒っ・・」
再び寝床へ戻ると、
待ってましたと言わんばかりに腕が伸びてくる
「う、冷てぇ・・・」
「この部屋寒過ぎ」
「・・ん」
完全に目が覚めていないのか、
言葉のキャッチボールがうまくいかない。

ある程度体温が戻ったところで、
離れる。
枕を取りにいくと、
今度は枕が遠くに放られた
「・・・ちょっと」
「ん」
また抱きしめられる
とうとう身動きが取れなくなった。
「もう、いい加減にしてよ」
「・・・・」
言葉の変わりに、ぎゅーと力がこめられる
「シズちゃん?」
「んー」
髪にキスされる

もう、頼むから
ゆっくり寝かせてよ



あきらめて擦り寄ると、
満足気に、早々と眠りにつく



安眠までの何か