愛故に


































たまに思う
散々殺すと言い放つけど
結局俺が死んだら
こいつは、きっと泣くんだろう
寂しい顔をするんだろう
そして、驚くほど優しい触れ方をするんだろう


「また、ろくでもねえこと考えてんだろ」
「君のことだよ」
頬に手が触れて
視線を逸らさないで
2、3秒睨まれる
手が離れる瞬間に少し寂しそうな顔をされた
どこまで読まれたんだろう
ほんとに獣並
でも、
ごめんね

「シズちゃんの目すきだなー」
何も企んじゃいないのに、
疑いと、呆れとあと、何かが混じった視線
いつも、いつも
嫌いだとか嫌悪の言葉ばかり吐くけど、
その目はいつも真っ直ぐで、
そして、引き込まれる

なんかこれ、目で好きだっていわれてるみたい

「んだよ」
目の下
瞳に触れる寸前に、触れる
「シズちゃんさ」
「あん?」
「俺のこと好きだよね」
「何ぼけたこと言ってんだ」
「だって」
目が
「手どけろ、うぜぇ」
「俺は好きだよ」
手が払いのけられる前に
「・・・」
動けなくなる愛されたがり
「・・・目が、ね」
べーっと、舌を出す
「て、めぇ」
「シズちゃん、やめてよ目が潰れる」
「うるせえな」
目の上と下を指で挟まれる
皮膚ごしでも気持ち悪い
「ちょっと、ひっ」
「変態だな」
「人の目を舐める方が変態だよ」
「仕方ねえだろ、ムカついたんだよ」
「酷い言い訳だよね」
「勝手にしろ」
「ん?」
「つか、勝手に考えてろ。面倒臭ぇ」
「そう?結構単純なんだけどね」
「・・・」
「例えばさ、俺が・・」
「喋んな、ムカつく」
口を覆うように掴まれる
ああ、違うな
「何笑ってんだよ」
手が離れて、髪を撫でる
ちゃんとわかってるよ
ちゃんと届いてる
言わなくてもわかるよ
そう、目が言ってるよ
俺、愛されてるよね
懐いた犬みたいに、首元に擦り寄ってくる

愛していると、強く、強く
ねじ込まれているような感覚

こんな俺で
「ごめんね」
「・・・」

愛されて、ごめんね

「大好き」
「・・ん」