歪みなく、歪んだ感情



























わからないことがある
ずっと、
知りたくないことがある



気だるい体
明け方
窓から生ぬるい風が入ってくる
世界で一番嫌いな奴の寝息
嗚呼、最悪だ






急に手を引かれた
「どこ行くの」
「・・・水、のど渇いたんだよ」
「そ」
煙を一度肺に入れて、吐き出して、
結局腰を下ろす
「水は?」
「あとで・・」
「俺も、のど渇いた」
「知るか」
とりあえず煙草を置いて、
頭を撫でた
「・・・何?」
「てめえこそ、どうした」
「・・・」






何でこうなるんだろう
一瞬で殴りかかりたくなる衝動だって、
別に消えたわけじゃないのに、
受け入れたくないのに、
触れていないと
何でこんなに寂しいんだろう




「シズちゃん」
「なんだ」
「なんだろ?」
「あ゛?」
「・・なんでもない」
「・・・・まだ、早いだろ、寝てろ」
「起きてる」
「そうかよ」





何で、ここには俺とお前しかいないんだろう




髪をなでるのも飽きて、
頬とか唇とかに手が移動する



「ん、やっぱり寝る」
「ああ」



こんなに嫌いで仕方ないのに、
何で触れたくなるんだろう



何でキスしているんだろう




多分、嫌いな奴にすることではない


この感情は何だろう



「おやすみ」
「ああ」


覆うように横になって、瞳を閉じる





何でこの世界には、

「・・おやすみ」

お前しかいないんだろう