四月馬鹿




































「あっはは、流石っ、全く君は化け物だよねぇ」
どっかのコンビニの看板を投げた後だった
おかしい
標識を再度地に刺す
なんか
「おい」
「・・・ん?」
なにかおかしい
「お前なんか変だぞ」
「・・・そうだねえ、君みたいな化け物を基準にすれば、俺なんて平凡な人間は随分異常だろうね」
「うぜえ、つか違えよ」
「ん〜?」
「なんか、気色悪ぃぞ」
「・・・くく、さあ?どうしてだろうねっ」
接近戦でくるのは、余程機嫌良い証拠だ
まして臨也から距離を縮めるなんざ
「手癖悪いんだよ、てめぇは」
「折角相手してやってるんだから、もっと殺し合おうよ」
何なんだ?
さっきから
標識を引き抜いて振り回す
いつもなら、巻いて逃げることばっか考えるくせに
避ける割に、逃げる気がない、のか?
「おいノミ蟲、てめぇやる気あんのかよ」
「どうだろうねぇ、ふふ」
なのに
違和感はあるのに、きな臭さがしない
相変わらず口を開けばうぜえのに



「シズちゃんさ、取り立てなんてやってると、曜日感覚狂いそうだよね」
「てめえも変わらねえだろうがっ」
「まあ、そこはどうでもいいんだよシズちゃん。」
「・・・・」
いつにも増してよく喋る
「曜日は7日に一度、日にちは365日、一年日度必ず来るんだよ」
「あ?だからどうした?」
持っていた標識を投げる
「さっさと死ね!!」
「く、ははっ、じゃあ、ヒントだよ」
「喋んな、死ね」
「・・・今日は何の日でしょう?」
「・」
「はい、残念時間切れ〜」
「早過ぎんだよ、くそっ」
咄嗟に後ろへ跳んだが
気を抜いた瞬間に切られた
「ま、シズちゃんはわからないよね、今日の楽しさがさ」
「ちっ」
また一歩踏み込まれる
頬の横にナイフが伸び
ペタペタと肌に当てる
「必死に考えちゃって、バカだねえ?」
「・・・ホント面倒くせえな」
掴みにかかると後ろへ下がる
「・・それは褒め言葉なのかな?」
「そのままだ、俺が一々乗るわけねえだろ」
臨也がにっと口角を上げる
「そうだよ、それでいいんだ。要は受け取りようだからね」
「で?」
「あ〜、ほんっと殺したい」
「・・そりゃどっちだよ」
「さあ?」
「うっぜ」
「ふふ・・」
「黙ってさっさと死にやがれ」
「それはどっちかな?」
「・・・知るかよ」
にやつくと言うよりは、いつもより頬が緩い
いつもそういう面してればいいのに
と、大きく溜息をつく
「どうしたんだい?」
「・・・吐くまで付き合ってやんよ」
「・・あはは、そう来なくっちゃ」
蛍光灯に手を伸ばす
「覚悟しろよノミ蟲」
「嗚呼、もっと愛し合おう」