捩れて拗れたプロポーズ




































突然降ってきた
雨みたいに
突然
「何これ」
「花」
「・・・・・」
どうして
反射的に受け取ってしまい
振り上げる
「・・・おい、捨てんな」
「・・なんで」
「俺じゃねえよ」
「・・・・・」
「バーテン服来てその辺歩いてる金髪の男から」
「お前だろ」
「うるせえ、とりあえず捨てんな」
「無茶言うなよ」
振り上げたまま強く握ると
包装が潰れた音がする
「・・・やめろ」
「・・・・・」
こんなこと、今まで一度も無かったじゃないか
なに
もうやめたいってこと
やめどきだって言いたいのか
弔花か
「やるから」
「・・」
「黙って受け取れ」
いじけた子どもみたいな顔で
何が有ったかなんて知らない
ひと恋しくなったって興味ない
こんなのは
だって
らしくないだろ
こんなの
いらない

「終わりたいの?無理でしょ」
「ああ、無理だな」
「・・・・・」
じゃあこれは何?
だって
追いかけられて
逃げて逃げて
ずっと逃げていたら
どこに着くのか
どこに行きたかったのか
もう分からなくなってしまった

「じゃあな」
「・・・・」
そう言って背を向ける
こういうときこそ
相手をするべきじゃないの?
ねえ
殴りあうべきじゃないの?
左手に持っていたナイフを勢いよく投げる
野生の感だか本能だかで
簡単にはじかれるのも
刺さらないのも
もう
見なくたってわかる

この白い薔薇を受け取って
何が変わるの
何を了承したことになるの

「何、爆弾でも入れたの?」
「・・・そんなとこだな」
「・・なにそれ」
「お前は黙って受け取ればいいんだよ」
「・・・・君が見えないところで捨てればいいのかい?」
「いいよ」
「いいんだ」
「・・・・よくねえけど」
そう
じゃあ
仕方ないね
「仕方ないから、受け取ってあげるよ」
「・・そうか」
これも
君も
多分言いたいことも
花が
あまりにもかわいそうだから
君が
受け取ってあげる
数日なら飾ってあげる
ほんの一瞬なら愛でてあげる
花弁一枚くらいなら食べてあげる
そしていつか
いつかなら
その手を
いつか
とってあげる
いつかなら


「・・・君なんか嫌いだよ」
「知ってる」
まだこの間合いが限界だから