割といつものこと

































いくらなんでもさぁ
「頻度増えてないかい?」
「あいつに言ってくれ、俺は平穏に学生生活を送りたいのに」
とわざとらしく肩を下ろす
「白々しいなあ」
「何のことだい?」
「静雄が居なくて困るのは臨也だろ?」
「言っている意味がわからないな」
それはまた大層歪んで笑みを向けられる
「勿論冗談だともっ」
と、口にしなければただでは済まない
「そうか、俺の聞き間違いだな」
「静雄は物理的恐怖だけど、君にはホント精神的な畏怖を感じるよ」
「それは嬉しいね、あんな脳みそ筋細胞とは違うってことだろ」
「何というか、毎日毎日飽きないなお前らは」
セルティは足りなくなった包帯と飲み物を持ってきてくれた

「学生とは時間が無限にあるように錯覚してしまう生き物なんだよ」
「その気があればなんでも出来るのにっていう大人のエゴだろ」
「私はまあ、見てのとおり人間では無いから想像だが、
現役の学生がそんな討論をしていたら、大人を辞めたくなるだろうな」
「物分りが良いってことさ、ね、臨也」
「・・ああ、そういうことで良い」
あからさまに面倒くさいといった返し

「お前だって、あいつが居なくなれば平穏な生活とやらを過ごせるんじゃないのか?」
「君が言うのかい?思っても無いだろうに」
「そうでもないさ。
僕はね臨也、君たちが血みどろの殺し合いをしようが、特に興味は無いんだ
「そうだろうな」
「勘違いしないでほしいけど、心配は一応するからね、人並みにさ」
「で?」
「でもいいんだ、楽しいならさ」
「元々制御不能ではあるけれど、全力で喧嘩してる時の静雄は楽しそうだし。
君は君で、様々な顔で人を操っては、仕掛けて、罠にはめて楽しそうだし。
僕は僕で、応急処置なんてとっくに越えた実践ができて楽しいし。」
「想像していたより高校生活は毎日が斬新だよ」
「そうか」
「けどさ、今は学生に身分を置いているせいで、この程度なんだろ?」
「・・・」
「この先でもし僕やセルティに、
いや、セルティに何か害を及ぼすようなことがあれば、
僕は何のためらいも無く、この友人という立場を放り出すんだろうな」
「お前も大概だということを自覚したほうが良い」
「これもセルティへの愛のなせる業だよ」
「はいはい、ん?」
インターフォンが鳴る
「「・・・」」
揃って沈黙する、一瞬目を合わせ、視線を遠くへ
「臨也?静雄はトラックに撥ねられたって言ってたよね?」
「その後それなりに腕に覚えのある奴を送ったんだけど」
「一度解剖させてくれないかなぁ、定期健診とか言ってさ」
「健診じゃなくて実験って言うんじゃないのか?
けどまあ、3時間か、前回は半日動けなかったはずだけど」
「ああ、ホント気になるなぁ」

セルティがお客様と再登場
「新羅、静雄が来たぞ」
「どこ怪我したの?」
「左腕が動かねえ、痒い、つーか」
と、右腕でブラブラと降る
「脱臼だよ完全に・・・」
「・・さっすがシズちゃん、いや流石化け物」
「臭えと思ったらやっぱてめえか殺す」
近くのドアに手をかけようとした瞬間、黒影が伸びる 「あー、待って待って、ごめんセルティ」
「あ、ああ」
東京湾に沈められるあの形態
静雄は簀巻き状態
「じゃ、俺は帰るよ」
その横を優雅に、って言うよりは、 絶対的な権力保持者みたいに通り過ぎる 「待てコラっ」
セルティの影が一層濃くなる
「はいはい、静雄はこっち。肩外れたまま家帰る気?」
「・・・・」
「またね、シズちゃん」
「またとかねえよ、殺すっ」
「楽しみにしてるよ」