経過傾向

































「なに勝手に野垂れてんだこら」
「げ、これが死亡フラグってやつかな」
「死にかけてんのか?」
それ以上近づかず、覗き込むように顔を見る
ねえ、君、誰?
なんでそんななっちゃうのかな

「おい」
「・・・・」

どんどん人間らしくなってきた
制御なんて君にはいらないだろに
君一人くらい
一緒に落ちてくれたっていいだろ

「まだかよ」
「・・・」

単純な、しょうもない言葉だけが
頭をぐるぐると
回って、疲れて、吐き出しきれずに

猫の首を掴むように
肩に担がれる

「新羅んとこ行くぞ」
「・・・・」

触れたいけど、腕が上がらない
言いたいけど、喉が痛い
疲れたけど、死ぬのは怖い

折角見つけたのに

歩く振動が骨に響く
タバコの臭いが鼻を突く
人間らしい体温に、人間らしい匂いに
噎せそうになる

回らない頭で言葉を繰り返しながら

まだ
このまま
ずっと
知らずにいたい
言わずにいたい