L'amarezza in dolcezza























「お、おかえりー」
「ただいま、です」
ゆるい頬、目が合うと、なお表情が優しくなり
頬が薄桃にそまる
その笑顔を見るだけで、抱きしめたくなる
「もう少しで出来るからなー」
「はい、あ、何か、手伝いますか?」
「ん?いいよ座ってろ」
「はい。いい香り、がします」
「今日はポモドーロとー」
「と?」
「ふっふっふ、まあドルチェにも超期待してろよ」
「わ、楽しみ、です。」
「おう」
「ジャン、さんは、何でも出来て、凄い、です。」
「んなことねえよ、さて」
丁度パスタが茹で上がった
「あ、お皿出しますか?」
「んーじゃ、頼む。戸棚の一番下にある奴な」
「はい」
パスタにトマトソースを絡めて、
モッツァレラを添える
「シンプルだけど上手いんだよな」
「はい、俺も好きです。」



こいつはなんでも上手いと言う
丸焦げになったステーキですら食べようとしそうだから、
何だかんだ料理は気をつけるようになった
つーか、ジュリオ料理できないし
「さて、まだ余裕あるだろ?」
「あ、ドルチェですか?」
「そ、とうじょー」
冷凍庫に冷やしていたドルチェを運ぶ
「わあ」
「生クリーム残ってたからさ、作ってみた」
「これはジェラートですか?」
「んー、セミフレッドってのよ」
「セミフレッド」
「ん、食ってみ」
「はい、いただきます。」
子どもみたいに目を輝かせて、ゆっくり口に運ぶ
「おいしい、です」
「ん」
「ジェラートより、柔らかいです。」
「んで、これかけてみ」
キャラメルリキュールを少しかける
まるで、光を通したガラス玉のように瞳をキラキラさせる
「う、わぁ」
「ほい、召し上がれ」
「凄い、です。蕩けそうです」
「はは、ジュリオの顔がふにゃふにゃになってら」
「あ、すみません」
「いいって食べろ食べろ」
「はい、ジャンさんはやっぱり凄いです」
「俺褒め殺されちゃうよ」
「ホントです。」
「んーありがと」


お気に召したらしく、
口に運ぶたび、花やら星やらが飛びそうな声で喜ぶ
「・・・・おいしい、です。」
「ジュリオ俺にも一口頂戴」
「あ、はい。」
「あー」
「ふふ、どうぞ」
口に入れるとすぐに溶ける
香りも良いし、思っていたよりうまいかも
「おお、うまっ、上出来じゃん」
「はい、とっても、おいしい、です」
「何で食った時より嬉しそうな顔してんだよお前は」
「あ、すみません、ジャンに、食べ、てもらうの、楽しくて」
と少しモジモジしながら照れる
「ったく」
「・・すみ、ません」
「怒ってないよ」
「あ、はい」
「・・・ジューリオちゃん」
「はい」
そう言って微笑む
「はは、お前ホント可愛いわ」
「あ、えと、はい」
「今日もご苦労さん」
頭を撫でる
「・・・はい」