デートアデート






















「ばーん」
勢い良くドアを開け、わざとらしく効果音までつけてみた
「あ、ジャン」
「命令でーす」
「はい、なんでしょう」
命令と言いつつも、多分完全に緩んでいた
今から明日の午後まで付き合って
「は、あ、はい。どちらへ?」
「オフになったぜー、きゃっほー」
「わぁ、はい、お供しますっ」
バタバタと汚い足音を立てて飛び込む
「ひっさし振りのデートだかんな、もう甘っ甘でだらだらするぜー」
「はい、素敵です」
子供みたいな笑顔に癒されつつ
一旦ぎゅうっとうずまってみる
「・・ジャン、お疲れでしたら、部屋で、ゆっくりされてはどうですか?」
「んー、平気平気」
と言いつつ、やさしく髪を梳かれると眠気が増す
「ジャン?」
「あー」
やばい、眠いかも
手が首の後ろから頭を包む
「こらー、ジャンさん眠くなるでしょうが」
「すみ、ません、でもここ数日挨拶周りだった、とベルナルドから。ゆっくり休むことが、できなかったのでは」
「そうねえ、でもお前せっかくのオフを。そんな・・・だらだらとは、ねえ」
いやだらだら過ごすんだけども
肩や腰をマッサージするように撫でられて、自然と力が抜ける
「ホテルとりますか?静かな所を。車、使ってよければ俺、すぐに」
「こらこら無駄遣いはだめってママ言ってるでしょう」
「ふふ・・・はい、すみません」
「あ、そうだジェラテリアっ」
「!」
突然体を動かしたせいで、ジュリオもつられる
「フルーツががっつり入ってて上手そうな店見つけたんだよ。ストロベリーに、パイナップルにオレンジ」
「わあ、迷いますね」
「だっろ、確かおとといの・・・あいさつ回り3件目だったかな。場所はちっと怪しいかも」
「あ、じゃあ、ドライブに」
「おうよ」
ピクニックに行く子供みたいにテンションを上げて
「あの、ジャン、よければ、アジトでチェーナを」
「チェネッタな、つーか出来合いでもいいぜ」
「はい、嬉しいです」
「っと、じゃあ服ちっと落ち着かせないと、こんながっつりマフィアしてたらな」
「そうですね、では俺も、着替えます」
クローゼットいっぱいに眠る服をお披露目するいい機会だ
「じゃあ、すぐ戻るから」
と、軽く頬にキスをする
「はい」
「おまえはー」
頬を染めるなよな



「さて着替えー」
「浮かれて怪我するなよ」
とルキーノが釘を刺す
「子供じゃないんだからさ」
「あ、そだベルナルド、一昨日行ったとこなんだけど」
「ドライブかい、丁度地図が、ほら」
「流石ダーリン」
「程々にね」
「ちゃーんと昼前には戻るって」
「ったく、ギリギリまで遊ぶ気かよ、いい身分だなあ」
「あら、イヴァンちゃん。ママが居ない間寂しくても泣かないでね」
と、わざとらしく頭を撫でる
「きっしょくわりぃんだよ、寄んなっ」
「やめとけイヴァン、今絡むと損しかしないぞ」
と悪態をつくルキーノに
「だーいじょうぶよ、門限には戻るってパパ」
「誰がパパだっさっさと行け」
「じゃ、ボスが居ない間よろしく頼むぜ」
「1日も無いのに、まるでバカンスだな」
「頭の中がな」
「あー、うっぜ」
「いってきまーす」
手を振るベルナルド
しっしとルキーノ
イヴァンに至っては返事なし
そんなことに構うこと無く



「お待たせさん」
「いえ」
ジュリオの嬉しそうな顔に安心して
満足して車に乗る
どこまでも
行きたくなるけど
「明日午後が門限な」
「はい」
それでも
隣から舞い上がった雰囲気が伝わって
当てられなくても浮かれる
さて、どこから行こうか