愛涙











「はー」
1日でこんなに溜息をついたことが、今まであっただろうか
「ちょっと、いい加減重たいんだけど」
「・・・・」
「ねぇ」


「・・・・」
「・・・・・」


「・・・・」
「はー」




ったく、何を考えているのか、
最初に溜息をついてから、もう30分は経った
それでも、骸は相変わらずで、
「もう、重いって」
流石に疲れて、無理矢理引き剥がすと、
骸はボロボロと大粒の涙を流していた
「っ、・・・う・・」
「ちょっと、何」
言い終わる前に、抱きしめられて、
答える気がないのだろうと、
また溜息をつく
「骸」
「・・ぅ」
だから、いつもの様に悪態をつくわけにもいかず、
必死にしがみつく腕を解くわけにもいかず、
起きて間もないせいか、
いつもより柔らかい髪を撫でるしかなかった。






「骸」
「・・っ」
意地でも顔を見せたくないのだろう、
両手で頬をつかむと、
さらに力を込めてしがみついてくる
「骸、好きだよ」
「ぅ・・・」
ぽんぽんと背を撫でると、
腕の力が緩んだ
また、両手で頬をつかんで、
覗き込んだ、
涙でぐしゃぐしゃになった顔を、
両手で引き寄せて口付けると、
また、しがみつかれた
「はー」
「・・・」
きっと、どうしたら涙が止まるのか分らないのだろう
「ぅぁ・・」
「ん?」
「・・きょ・・・や」
やっと喋りだしたかと思えば、
搾り出すように名を呼ばれた、
全く呆れる
「骸」
仕方ないから、文句は言わない、
名を呼ばれたら、呼び返して、
しがみつかれた、髪を撫でて、
たまに口付ける
そして、


「骸・・・」
「ふ、・・ぅ」
「好きだよ」
「・・っ」
そう言って宥めるしかない



仕方ない