melt


























包みを開けて間もなく
「あー」
そう言って口を開けるベル
「あ?なんだぁ」
「早くしてよ」
「俺のじゃないのか」
「半分な、半分は王子の」
「てめえ、自分が食いたいだけだろ」
「ま、いいじゃん、別に」
そう即答されて、呆れる

何の悪気もない所が、いっそ清々しいが、
一つも口に入れる前だぞ
「あー」
「ほら、」
トリュフを一つ掴み、ベルの口に運ぶ
「ん、んま」
「ったく」
手についたパウダーを舐める
別に甘いものが特別好きでは無いし
行事を気にできるような仕事ではない
が、
まあ、いつものことか
「・・あー、ほら貸せよ」
そう言って、頬を膨らませる
「あ?」
今度はベルが、一つ掴み俺の口に手を伸ばす
「ほら、口開けろ」
「・・・」
「王子が食べさせてやる」
物言いは荒いくせに、視線を逸らして言う
我侭王子の気が変わる前に、俺は口を開けた
口に届いた瞬間に、ベルの手を掴む
「わ、」
そのまま指先を舐める
なあとか、おいとか不満の声がいくつかして、
溜息のあとは
「そっちのが旨い?」
「そうだな」
「うっわー、エロ鮫」
そう言って笑う





「なあ、いつまで舐めてんだよ」
指から、手のひらへ
「チョコ、ん」
手首に吸い付く
「チョコ食べたいって、言ってんだけど」
手を離して、軽く口を開ける
「あ、」
「ん?・・あっは、犬みてぇ」
舌にチョコが届いたら、溶ける前にキスをする
「ん、ふ・・」
甘さを求める舌を絡めとって、
それが溶けると唇を離そうとするから、
抱きしめて、もっと深く
吸い付いて



「はぁ、まだ、全部食べてない」
金色の髪を梳いて、頬を撫でれば
細い両腕が首に絡まる
「お返し何倍にしてくれんの?」
「・・いくらでも」
苦笑していると、頬にキスされた
「考えておく」
「あー、楽しみ」
「ああ」
自由にさせると面倒な唇を塞ぐと
甘い香りが染み付いていた。