目が覚めても、覚めなくても




「光」
「なに?」
その唇が触れる前に、、、













「んー」
目覚ましが鳴らなくても、カーテンが風に揺れるたび射す光で、
目を覚ます。
隣の光はスヤスヤと寝息を立てている。
まだ、少しねむいから、ベッドからは出ないで、揺れるカーテンを見ていた。
カーテンを掴もうとして腕を伸ばした。
「あ」
自分の腕に沢山の赤い痕を見つけて、
起き上がると体中にそれは散らばっていた。
それが何だか心地よくて、
指で触れてみた。
その度に、心地よさが深くなっていく。

「馨?」
「おはよう光」
「ん、おはよう馨」
光はまだ眠そうだから、髪を撫でてあげる。
「馨、」
「なに?」
「好きだよ」
「うん?どうしたの?」
寝ぼけてるのかな
「好きだよ」
「僕も好きだよ。」
「んー、僕のが好きだよ」
「なにそれ」
寝ぼけているのか、目を瞑ったまま言う光を少し吹き出しながら見ていた。
「好き」
「うん、僕も好き」
「僕のが好き」
「僕のが好きだよ」
「僕のほうがもっと好き」
「負けず嫌い」
「いいの、僕の勝ち」
「なにそれ。」
「馨、寒くないの?」
「夏だよ?」
「いいから、こっち来て」
「うん」
光に引っ張られながら、僕は、ベットに戻った。
「光眠い?」
「ん、少し」
「寝る?」
「寝ない」
「じゃあ、起きるの?」
「起きない」
「えぇ?」
「馨」
あ、キスされる。
その前に、
「光」
「ん?あぁ、おいで」
抱きしめられる腕に、自分の腕を絡めて、
「大好き」
「僕も好き」
キスをする。
絡める腕の力をこめれば、
光も思い切り抱きしめてくれる。
「ん、」
気持ちいい

「光」
「なに?馨」
「眠くなってきたんだけど」
「じゃあ、もう少し寝とこうよ」
「うん」
「おやすみ馨」
「おやすみ光」
腕の力は緩めないで、
このままおやすみ