甘え上手


最近の光。

「・・馨」
「なに?」
「馨ってば」
「だからなに?」
目は向けず、声だけで返事をする。
「ねえっ」
「んー?」
「・・・もう、いいよ」
今ちょうど良い所なのに、そう思いながら持っていた本を置いて、
光を見る。
「なに?どうしたの?」
そうすると、光は決まってばつが悪そうな顔をする。
「別に」
「ん?」
手を絡めて、じっと光をみる。
そうすると、必ず光は目をそらす。
「なにも」
「何も無いの?」
「いいじゃん別に、呼んだだけ」
少し吹き出しそうになるのをこらえて、
「何にも無いんだ。」
「だって、馨本ばっか見てるし」
「うん、ごめん」
光は、一人が苦手。
僕もあまり好きじゃないけど、
構ってもらえないと、すぐに光はいじける。
光ってホントお子様。
「光」
「なに?」
だから、僕が先に甘えてあげる。
光の頬にキスをする。
今度は、光がキスを返してくれる、
ちゃんと口に。
ほら、さっきまでいじけてたのに、
もう機嫌がよくなってるし。

絡めた指の力が強くなるのを感じながら、
ソファに押し倒される。
















ふと目に入った本を見た。
いいとこだったんだけどな・・
「・・・あっ」
ま、いいや。
「っ馨・・」
「ん、ひか・・る」
そんなものは、あとでいい。
指を絡めて、口付けて。
だって、どっちが大事かなんて決まってる。
大好きだから。