face to face




「馨〜」
「何?」
「ひまなんだけど」
「ふーん、僕は本読んでるんだけど?」
「ひまなんだって」
「光もたまには本とか読んでみれば」
「むり〜」



「馨〜」
「もう、」
後ろか抱きしめられて、体重をかけられて
「僕本読んでるんだって、」
「いいじゃん、暇なんだって」
「はぁ」
折れるのはいつも僕で、
「馨、好きだよ」
「知ってる」
「機嫌悪いね」
「誰が悪くしたの?」
「僕でしょ?」
「もういいや」
どうでもよくなるのも僕で、
あっ、キスされる
「ちょっと、光」
「・・」
「っひか、る」
「かおる〜」
クスクスと二人で笑い始める
「んんっ・・ぁ」
「馨、かわいい」
同じ顔なのに




二人、顔を見合わせる
「「暇だよね」」
そして、また笑う




「何して遊ぼうか?」
光に押し倒されながら
「何するの?」
意地の悪い笑みを返しながら
「何だと思う?」
光の首に腕を回す
「何だろうね」
もうわかってる
「したいんでしょ?」
重なり合う熱も、声も、息遣いも。
二人でいる証。

何も言わなくていい、何も考えなくてもいい。
全てわかってしまうから。



「光」
「何?」
「好きだよ」
それでも、言葉を使うのは、
「僕も好きだよ」
ずっと、繋ぎ止めていたいから。