それは、わざとです。










いつも一緒に居るけど、
だから尚更、気なることがある。
馨はちゃんと考えてるのかな。
そんな事思ってると決まって、始まってしまうんだ。

「なあ、ハルヒ」
「なに、光」
「昨日殿がさ・・」
と、本当に他愛もない話を始める、
別に今でなくてもいいし、ハルヒじゃなくてもいい。
ただ、そばに居たのがハルヒだっただけ。

「光」
馨が呼んでる。
そんなこと、すぐにわかる。
でも、一回目は聞かない。
「でさ、殿ってば鏡夜先輩にめちゃくちゃ怒られて」
「光るってばっ」
「え?あ、なに馨」
「次移動でしょ」
「そうだっけ?」
とハルヒに聞いてみる。
「うん」
「そっか、じゃ行こうか」
馨のつまんなそうな顔をチラッと見て。
うん。もうちょい。
と心の中で思った。
隣ハルヒ。後ろに馨。
そのまま、移動中もずっとハルヒと喋っていた。
馨は外ばっか見てる。
ふと、馨の足が止まった気配がしたけど、
もうちょっとだから、そのまま歩いていた。
すると、ハルヒが小声で
「馨いじけてるよ?」
と、聞いてくる。
ハルヒは気になっても、すぐに首を突っ込んだりしない、
引っ掻き回したりもしない。
「もうちょっとかな。」
「ふ〜ん」
移動教室についた。
でも、後ろにかおるは居なかった
「あれ?馨は?」
「さっきの、窓のところで止まったままなんじゃないの?」
「ちょっと、様子見てくる」
「うん」
心配だって、思ってしまうと、それはドンドン増えていく。
やばいとか、そんな気持ちばっかりで、潰されそうになる。
「馨っ」
やっぱり窓の先を眺めたまま、馨は立っていた。
「馨?」
「あ、光どうしたの?」
ムリに笑ってることくらい、簡単にわかる双子なんだから。
「どうしたのって、馨こそどうしたんだよ、え、泣いてたの?」
うっすらとだけど、涙がたまってて、目もうるうるしている
「あ、これは・・」
馨を思いっきり抱きしめた。
「光?」
「ごめん、ごめんな。」
「何?どうしたの光」
「・・っ」
「光?」
「馨」
「なに?」
そのまま光は喋らない
「大丈夫わかってる。光るってば、わざと過ぎ。」
「だって、」
「僕は光が一番好きだよ」
「うん、わかってるけど」
「光だから好きなんだよ?」
「うん」
「双子だからじゃないよ?」
「それも、わかってるけど、」
「わからないでもないけどね、流石に光が聞いてくれないのは傷ついたもん」
「うっ、だからごめんって」
「傷ついたな〜」
「馨ぅー」
「あはは、ね、だから大丈夫だよ」
「うん」
「僕のがお兄さんみたい」
「だめ、」
「ダメって、」
そうやって馨が笑う、いつもの顔で。
「光だって僕が好きでしょ?」
「うん、一番。馨しか居ない」
「うん」
「ずっと、馨と一緒」
「うん」
「ごめん」
「いいって、光がお兄さんなのに」
「うん」
抱きしめたままのだった腕を放して、手を繋いだ。
「馨」
「ん?」
唇に少し触れた。
「仲直り?」
「うん」
また、馨が笑う。
やっぱり一緒が心地良い


わかってても、試したくなる。
確かめたくなる。
いつも同じ結果なのに、わかってるのに。
矛盾してる。
大好きだから。