疑心暗鬼




























別に比べてるわけでも
勿論嫌いなわけでもなくて
対象だって別に
誰でも一緒
「大ちゃんて、ホントそういうの好きね」
「・・おー」
「・・・・・」
明日の練習試合の時間変更を伝えに来た桃っちは
グラビアから目を離さず、返事する青峰っちに呆れる
「そういう子と付き合いたいの?」
「んー」
「きーちゃんは?」
「へ、俺?どうっスかね。割と誰でも」
「きーちゃんサイテー」
「・・サイテー」
突然話を振られて特に興味ない、なんて返すわけにも行かず
「あんたにだけは言われたくないっスよ」
「男の子は好きとか嫌いとかじゃないのね・・・・」
ぽつりと独り言みたいに言うから
「ちょっと、青峰っち」
「あん?」
「・・・」
当人は気づいてないのか、どうでもいいのか
「んと、真面目に返すべきなんスかね」
「・・知るか」
「なんなの?」
「んー、好きなものと食べたいものって違うじゃないスか」
「・・・」
「・・意味わかんないだけど」
「あっれ?青峰っちパス」
「パス返す」
「?」
「あんたが原因なんスよ」
「あ゛?・・・この前さつきアイドルで騒いでたろ、あれと一緒」
「・・ん?」
「あ、青峰っち例え上手い」
「アイドルと付き合うのかよお前」
「付き合わないよ、てゆうか違うもんそういうの」
「まあ、グラビアもアイドルっスからね」
「そういうこと」
腕を組み少し考えて桃っちは言う
「じゃあ、大ちゃんは彼女の胸が大きくなくてもいいんだね?」
「・・どっちかっつーならでかいほうがいい」
「何それ・・・」
「台無しっスよ」
「んだよ、お前だってかっこいいやつのがいんだろうがっ」
「そうだけど、違うもんっ」
「・・これが痴話喧嘩ってやつっスか」
「ふざけんなっ」
「ふざけないでっ」
「ホント、仲良いっスね」
「もう、あ、私皆にも伝えてくるね」
「おー」
「いってらっしゃい」


「桃っちって可愛いっスよね」
「・・・知らん、普通じゃねえの」
贅沢だなあ
「付き合っちゃえばいいのに」
「幼馴染だって言ってんだろ」
「ふーん」
「・・お前さ、」
「・・・・・」
「お前が言うなよ」
「はは、ごめん」
「・・・・」
雑誌から目を離さないから
覗き込むように近づいてみる
「怒ったスか?」
「呆れてんだよボケ」
「ふふ」
「嬉しそうにすんな」
「え〜?」
「喜ぶとこじゃねえだろ」
「まあ、そっスね」
「・・・」
あんたがそんなだと
手遅れになるよ
きっと後悔するよ
今は良くても
いつか
選択間違えたって思うかもよ
ねえ
それでも
「いいんスか?」
「何が?」
桃っちが出て行ったドアに視線を送る
「んー」
「・・・お前さ、」
おもむろに腕を掴まれる
「わ」
「ちっとは信じろよ」
思い切り睨まれた
「・・・うん」
「・・・」
じゃあ、ちゃんと
「うん、わかった」
「・・・」
掴まえててよ
「ごめんね」
「ん」
頼むから