届くから



























「バスケっつか喧嘩っスよね、あれ」
「そうですね」
青峰君と火神君は
それはそれはやかましくバスケしていた
ストリートじゃ無い筈なのに

「あり余ってるっスね」
「黄瀬君は混ざらなくていいんですか?」
さっきからずっと眺めて
追いかけているのに
偶に目の色が変わったりしているのに
「いいんスよ」
「・・・」
「折角黒子っち独り占めできるんスから」
「・・意味がわかりません」
「相変わらず酷いっスよ」
「火神っちのおかげで青峰っちもたのしそうだし一石二鳥っスよ」
「多分、使い方間違ってますよ」
「マジスか」
「はい」
「・・・・」
丸で自分ではできないみたいに言う
黄瀬君は素直だと思う
いいなーっと目が言っている
少なくとも僕にはそう見える
どうして君は
「黄瀬く・・」
「何逃げてんだこら」
「あ゛?水位飲ませろ」
火神君が近づく
「お疲れーっス」
「汗凄いですよ」
タオルを受け取る
「あー、つかあいつ無茶苦茶だろ、よく毎日1on1やってたなお前」
「中学の頃っスよ、しかも俺1点もとれなかったし火神っちも充分無茶苦茶だって」
「君達が大概無茶苦茶なんですよ」
「おい黄瀬っさっさと来い」
「う、え、」
「やんぞ」
「はいっス」
バタバタと上着を捨て
頬を少し染める
それはもう嬉しそうに
「・・黄瀬君」
「はいっス」
「いってらっしゃい」
「いってきますっ」
「いってら〜」

呼ばれたときの表情も動きも声も
結局何も変わってないのだから
君が思っている程

「また泣かせてやるよ」
「ちょっと、泣いたことないっしょ」
「あー、そうだっけっ」
「ちょ、いきなり」
黄瀬君がコートに入り、ほんの間もなくスタートする
「油断しすぎなんだよバーカ、と、お?」
「甘く見ないでほしいっスね」
驚くほどの反射神経と、何より読みが強い
「はっ」



「あいつホント青峰とバスケすんの好きな」
「そうですね」
「・・何?何か嬉しいことあったのか?」
頬に指が触れるのがくすぐったい
「少し・・」
「そ」
身じろぎしながら言うと
真意は伝えてないのに
火神君は嬉しそうに笑う

「火神君」
「ん?」
「・・今日泊まりたいです」
「いーよ」
「・・はい」
温かい手が心地いい


「あ゛ー火神が黒子っちたぶらかしてる!!」
「何で結構必死になってるんですか」
「〜っちはどこいった!?」
「何やってんスか、もー!!」
「黄瀬君近所迷惑です」
「声張らねえと聞こえねえだろ」
「・・うぅ、怒られたっス」
「何で聞こえんだよ」

あ、青峰君が
「黄瀬君あぶな」
「て・め・え・は、」
「うげ」
「こっちだろうがっ」
「んぐっ」
文字通り通り噛み付いた
「返事っ」
「ったた、う、すんません」


「お前らいちゃつくならコート変われ」
「そうですよ」

「外野うるせーぞ」
「・・・・」
「おい黄瀬、シャキッとしろ」
「・・だっ、て」
やきもちを焼かれたことで、
先ほどまでの集中はどこか飛んだらしく
「おっそ」
「もう、青峰っちのあほー」
「ああ?」

これはもう遊びにもならないだろう
「行きましょうか」
「だな、ほら交代だ」
「っち」
「俺まだ代わったばっかなのにぃ」

大丈夫
あれでも彼はちゃんと見てるから

「しっかり休んでください」
「だとよ」
「へいへい」
「あんまりっス」

きっと
君が心配するようなことは
何一つ無いから
嬉しそうに話す相手はいつだって君だから