となり




























隣にいつもテツが居た
声かけたわけでも
かけられたわけでもなく
それが普通だった
んで、途中から、やかましいやつが後ろに張り付いた
すぐ調子乗ったこと言うから
からかって
で、たまにテツが悪乗りして
毎日過ぎてた


そんで今隣にテツは居ない
「お前薄すぎだろ、通行人が気づかないとかレベル高すぎんだよ」
「僕の所為じゃありません、てゆーか火神君が目立ち過ぎるんですよ」
「お前の所為だろ」
「違います」
「とりあえず、場所変われ」
「わかりました」

テツは道路側歩かせちゃいけない
マジで轢かれかねないから
んで、
会話続けてないと、離れたこと気づかないから
って今はもう、いいのか
そういうのは


隣にテツは居ない
後ろのやかましいのも居なくなった

「青峰っち聞いてないっしょ?」
「・・・・」
「相槌位打とうよっ」
「あー」
「誤魔化す気もないんすか・・・もう、黒子っちー」
黄瀬がテツに助けを呼ぶと
「そんなことで、一々呼ばないで下さいよ」
と一蹴される
今は隣にこいつが居る
いつの間にか一歩前に進んできたこいつが居る
「なあ、黄瀬」
「うぅ、なんスか?」
そこの居心地はどうだ
「やっぱいいや」
「ちょっと、なんスかそれ」
「聞いてる聞いてる」
「何を聞いてたか説明してほしいっス」
あんまうるさいかあら、肩を組んで適当言ってると
テツと目があった
「どした?テツ」
「いいえ、黄瀬君うるさいんで黙らせてください」
「あんまりっス」
「そん位にしとけや」
「火神っち」
「どうしたってうるせえよそいつ」
「はあ、もういっすよ、俺の味方は女の子だけっス」
「お前、そいうとこだよ」
「君が言うと洒落にならないんですよ」
「おーおー嫌味か黄瀬君よお」
組んでる方の手で耳を引っ張る
「いった、ちょ、痛いマジで、すんません」
「わかりゃいんだよ」
「理不尽っス」

その後もぶつくさ文句たれながら
ガキみたいに口を尖らせて
「つか、青峰っち重たいんスけど」
「んー」
そこ特等席だぞ
「聞いてないし」
「・・・」
わかってんのか
「なんスか?」
「頼りにしてんよ」
「へ?」
わかっちゃいないんだろうな


「ほんっとうるせえな後ろ」
「そうですね、」
「・・・・」
「でも悪くないです」
「・・・・まあな」
「はい」
「お前達、結局仲良いんだな」
「君とも仲良いつもりですよ」
「・・・・なら、いい」

前にテツが居る
隣に俺は居なくて
後ろも居なくなった
そんで、今俺の隣にはこいつが居る

それが案外居心地いいんだ