イライラ





























朝からずっと
ひたすらずっと
悶々と
何見ても何しても何食べても
ずっと
ひたすら
あー
なんかイライラしてきた
頭の中をずっとぐるぐる
キスしたいキスしたいキスしたい
「あ、青、えっ」
「よお」
ああ、やっとって思ったのに
「嘘、風邪?」
「お゛ー」
最悪だろ
「もう何やってんだよ」
「何もしてねえよ」
悶々とイライラが
ずっと
ずっと
もう
どこまで勝手なんだよ
「青峰っーち」
「あー、あ?」
マスク越しだと唇の位置もわかりゃしない
「・・・はあ」
「・・お、おお、どした」
「もういいっスよ」
「・・・早退するか?」
「しねえよ馬鹿」
「なんだあれ」
「なんでしょうね」
「うお、テツ」
「ストレス溜まってるじゃないですか?」
「そういうもんか?」
「そういうもんですよ」
「んー」

朝からずっと
ひたすらずっと
悶々としてて
あと30分
あと10分
あと何分ってずっと考えてて
やっと捕まえたら風邪引いてるとか
「おい、黄瀬」
「あ、なに?・・ちょ・・っと」
「来い」
腕っつか肩ごと勢い良く引かれて
階段下
ちょっと暗がり
微妙に見えないところ
マスクを顎に引く
「口開けろ」
「ん?・・・んっ」
いつもより舌が熱い
ざらざらしてて
絡まるのに必死になって
あーこの感じだって
少しも口を離したくなくて
吸い付くように
唾液とか舌ごと飲み込むみたいに
このまま舌を、唇を飲み込めたら
「がっ、つきすぎだろ」
「んー?」
聞こえてないよ

呼吸もとりあえず後でいい
少し離れてまた絡めに行く
息を相手の肺から奪うみたいに、
腕を回して、頭を掴んで
だって、朝からずっと
口端から零れたって、ちょっと位声出たって
だってひたすら
ずっと
ずっと
朝から
喉の鳴る音がうるさい
少し甘くて苦い
唇が離れると冷える
のど飴とかかな
唇が離れた
「ちっとは落ち着いたかよ」
口端を拭うみたく舐められる
「ぁ、まあ・・」
「・・ふーん」
きゅうっと唇を吸われて目が合うと
済し崩し
「・・青峰っち」
「ん?」
「ちゅーしたい」
「今したろ」
「もっかい」
重なった唇の間
どうにか上手いこと嵌らないかな
隙間なく埋めらんないかな
舌もこのままどろどろに溶けて
一つになったり
とか
するわけないか
でも
だったら
「あ、移ってもしらねえぞ」
「・・うん」
風邪くらい飲み込みたい