これはこれで





























「お前なあ」
「痛いです。やめてください」
他愛も無いことだけど、
そうやって簡単に触れる権利が俺には無い

手を伸ばせば払われ
近づけば一歩引く
だからって、距離を置いたら
踏み込んではくれない

青峰っちは俺よりも長いから仕方ないけど
火神はほんの少し前じゃん
俺のが先なのに距離を置かれるのは
そいうことなんでしょって
思ってしまう

ああ、イライラするな

「お前さ」
「何」
「ほんとテツ好きな」
「そうっすね」
投げやりに返す
「テツと付き合えばいいのに」
「黒子っちは俺のこと好きじゃないから」
「そうでもないだろ」
あんたに言われても意味が無い
「つか、じゃあ、あんたは何で俺なんだよ」
「そんなん好きだからに決まってんだろ」
そう言って
頬を引っ張られて唇が触れた

「何ボケっとしてんだ」
「・・・嘘」
「馬鹿にしてんのかコラ」
「知らなかった」
「はあ?」
「言ったこと無いじゃん」
「・・・・そう、だっけか?」
「そうっすよ」
「あー、そうだったかも」
「超びっくりした」
心臓が止まって
止まってた分取り戻すみたいに鳴る
「好きでもない奴と付き合ってどうすんだよ」
「そりゃそうっすけど」
「だったら、バスケしてる方が楽しいだろ」
「それもそうっすけど」
「馬鹿じゃねえのお前」
「・・・うん」
そっか
そうか
「おい」
「ふふ」
「にやつくな」
「いや無理、そっか青峰っち俺のこと好きなんだ」
「何かめんどくさくなってきたな」
「まあまあ」
「・・機嫌よくなったな」
「ん?・・・うん」
なんてまったりしていたら
コートからの声に視線を戻すと
「おお、」
「お前ほんとほっせーのな」
黒子っちを持ち上げダンクさせていた
「あ゛ー」
「あー、うっせ」
「火神っちなにやってくれてんすか」
「おっ前さ、」
「何?」
「・・してやろうか?」
「そういことじゃ、」
「・・・」
「・・・なくもない」
「どっちだよ」
「ふふ、いいややっぱ」
「あ?」
「お人好し」
「誰が」
「あんたっすよ」
「んー?」
わかんない顔する
いいよわかんなくて
いいよこれで