動転

























ここ最近の楽しみ
体格はそう大人と変わらないのに
小学生かそれ以下が公園で遊んでるみたいで
微笑ましく思う
如何せん二人とも
アレなんだと思う

「お前ホント覚えんの早いな」
「見た動きをイメージすんの得意なんスよ」
「流石真似っこ」
「それやめてほしいっス」
肩を組んだ程度でそれは発生しない
シュートが決まった後、
パスカットやリバウンドが取れた時
例えば今みたい
「けどまあ、よくやったんじゃねえの」
「っと、わ」
頭を雑に撫で回す
軽い抗議と振り払う気のない腕が段々弱くなり
動きが止まり
多分
「黒子っちー」
「・・・」
やっぱり逃げてくる
休憩の笛が鳴ったかいいものの
そうでなければ、この中途半端に湿ったタオルを勢いよくぶつけるとこだった
バタバタと音を立てて
飛びつきかねない勢い
「黒子っち」
「なんですか」
「俺なんかおかしいんスよ」
「君がちょっとおかしいことくらい、知ってますけど」
「そういうことじゃなくてっ」
「じゃあ、どういうことですか」
「心臓がおかしい」
「落ち着いてください」
「なんでっスかね」
「・・・・」
「俺普通でいいのに」
「嫌味でしたか」
「あー、違うっス」
「でもやっぱ変」
「ふふ、そうですか」
「何で笑うんスか」
「いえ、ラブレターに恋を変と書いてしまうのも、あながち間違ってないかもしれないと思って」
「どういう意味っスか?」
恋と気づく前だから
「そのままです」
「わかんねっス」
「それは残念です」
「黒子っちー」
「そうですね、ちょっと頭下げてください」
「はいっス」
膝に手を置き前に屈むと
やっと手が届く
犬を甘やかすみたいに、頭を撫でる
「どうでしょう?」
「えー?くすぐったい」
「そういうことじゃないです」
べしっと頭を叩く
「いだっ」
「黄瀬君って・・・・バカだったんですね」
「そんな良い笑顔で言わないでほしいっス」
子供みたいなことを言うから
それはもう、とっくに
恋だと
言ってしまいたい
「最近青峰君が似たようなこと言ってました」
「え」
少しだけ真面目な顔をして考え込む

だって君は知らない
「黄瀬君」
「・・・」
そう呼ぶと彼がすぐ邪魔しにくること

僕だってたまには優しくしてあげようかと思いますが、快く思わない人が居るようで、あ、黄瀬く
「でっ、・・いたぁ」
ほら、もう邪魔がきた
「青峰君どうしたんですか」
「どうもしねえよっ、おい黄瀬休憩終わり、急げ」
「うえ、はいっス」
黄瀬君は頭を掴まれたまま、連れていかれる

以外なことで、先に気づくのはきっと彼だと思う

脈が早まるのはきっと心のせい
変でもおかしくても
心がそう言うのなら
間違いなく
戀なんですよ

「青峰君」
「あ、・・がっ」
「忘れ物です」
「投げてから言うなよ」
普段ならカンタンに受け取るボールすらも掴めない

動転しるんですよ
すると声を揃えて
「「・・・何が?」」
やれやれ、です