仲直り
























手を
拱いていたのは
どっちだろうか

一人で
こうやって空だけ見てると
何もしてないと
回想して妄想して
疲れたら寝る

どうすればよかっただろうって
考える
一人で
何もしていないと
眠るかそうでないか
考えるしかない

恨んでなんかいないし
恨まれたりなんてしない
知ってる
あのぬるま湯みたいなのが
どっちも居心地良かったってこと

景色にピンクの髪が揺れる
「青峰君」
「あ」
「下校時刻過ぎてるよ」
「あー」
日も落ちていた
どうりで肌寒いと思った
「部活も終わってるし」
「学校ももうすぐしまるよ」
「へーへー」
「・・なんでそんな顔するの」
「何が?」
「バスケだけじゃなかったじゃない」
「なんだよ」
「・・・それだけじゃないでしょ、皆」
「何言ってんだかわかんねえよ」
「バーカ」
「あ?先行くぞ」
「どーぞっ」



「あ、ほんとに来た」
「黄瀬じゃねえか、何してんだよお前」
「桃っちがここに居たら来るからって」
「あー、さつきならもうすぐ来んじゃね」
「あんただよ」
「・・」
「あんた待ってたんだよ」
「あっそ」
確かに
これだけじゃなかった
バスケだけじゃなった
そんなことはずっと

「いつもこれ位なんスか?」
「寝てた」
「へ?」
「屋上で」
「なにそれ、相変わらずっスね」
「・・お前は」
「んー、高校入ってから真面目に練習してるっスよ」
「ほー」
会話が止まっても
居心地悪くならないのも
ちゃんと覚えてる
「なあ」
何で今日
「ね、青峰っち」
と腕をひく
「デートしよう、公園デート」
「ストバスに持ち込む気だろ」
「なんでバレたんスか」
「やっぱな」
「でも公園だからってコート無いかもしれないじゃないっスか」
「まあ、じゃあ何すんだよ」
「何しようか?」
そう言った顔が何かたくらんでそうで
気に入らなかった
「寝る」
「さっき寝てたんじゃんっ」
「うるせ」
「えー」


「着いたぞ」
「うん、誰も居ないっスね」
「そりゃあな」
入り口まで来て、中に入ろうとしない
こっちは向かずに
「仲直りしよ」
「喧嘩、してたのか俺ら」
「そうじゃないっすけど、いや、そうなのかな」
「きっかけは、そうだったかもしれないけど」
最初から
バスケだけじゃなかったこと
ちゃんと
「黄瀬」
「ん?」
「・・」
頭の後ろつかんで
キスした
「ビックリ、した」
「はあ、帰るぞ」
手をひく
「ちょっと、ねえ」
最初からずっと
今だって
「好きだ」
「こっち見て言おうよっ」
「言わねえよ」
「えー?」
それだけじゃなかったのに
わかってた癖に
「帰る」
「照れてるんすか?」
「ちっげーよ、ばーか」
「雑だなーもう」
そう言って黙ってひっぱられる
「・・・」
「じゃあさ、言うけど、ちゃんとメール返してよ」
「返してんだろ」
「へーとか、あっそとかじゃん」
「うるせーなー」
「あと電話出てよ」
「気づいたらな」
「携帯してよ」
「そんないっつもかかってこねえだろうが」
「かけるかもしんないじゃん」
「誰が」
「おれがー」
「へー」
「もー」

足を止めて、振り向いた
「黄瀬」
「ん?」
「するぞ」
「うん?」
「仲直り」
「・・うん、いいっスよ」
その時俺がどういう顔してんのかなんて知らないけど
お前は相変わらず
馬鹿みたいに嬉しそうにするから
今度はちゃんと
色々面倒になっても
ちゃんと
「覚えとく」
「何をっスか?」
「携帯」
「うん、約束っスよ」
とか言ってたまにはやっぱり忘れるだろうけど
「多分」
まあ、忘れたら文句言うだけっスよ」
どやされる位なら
仕方ねえ」
「なにそれ」
「お前が変わってるって話だよ」
「何が?青峰っち好きだから?」
「・・・・」
あまりに不意打ちだったから
また向き直って歩き出す
「え?」
「馬鹿がっ」
「言い方!!」
とんでもないのに好かれて
「はあ、黄瀬」
「ん?」
「こっち来い」
「なになに?」
「隣に並ぶ」
「好き、だ」
「・・うん」
ちゃんと好きになった