不器用な人


























期待が重みになっていたなら
俺もその一部になってたのかな

「もう、青峰君がさぼるからって、きーちゃんまでサボってどうするの!!」
「んなことないっスよ」
「あるでしょ」
「んー」
だってね
そうしないともし追いついてしまったら
ほんの少しでも近づいてしまったらって
思い上がりも有って
必死にやって、でも全然届かない時のあの
負けた時の悔しさと楽しさがなくなったらもう
これもきっと辞めてしまいそうで、ねえ
だからこれ以上は無理だよ

最近の日課になりつつある
「練習しないんスか?」
「やんなくても結果出してるだろ」
「まあ、あんたはそうだろうけど」
「・・・・」
「ワンオンワンは?」
「しねえよ」
「なんでっスか」
「・・・」
「ねえ」
「これ以上強くなってどうすんだよ」
「・・・」
あんたの楽しいはどこにあるかな
俺のあんたに負ける楽しさみたいのは
あんたは何かな
「じゃあ、俺もサボるかな」
「あ?」
「あんた居ないんじゃつまんないし」
「あっそ」
黙って着いていくけど
きっとこんなこと、黒子っちはしないだろうなって思うと
やっぱり俺は間違ってんのかなって思う
いつも
楽しいは青峰っちが持ってて
正しいは黒子っちが持ってる
そんで、優しいは桃っちが持ってる
「どこ行くんスか」
「別に」
「そ」
俺はどれも中途半端で
結局何も持ってないのと変わらない