ごめんね


























好きです
たいていは遠くで眺めているから
手を振ってみる

ほんの少し近づいて
会話とか
握手とか

そして
偶に
一方的な告白をされる
答えは要らないらしい

そしてそして
まれに
極まれに
告白はされず付き合って欲しいと声をかけられる
振られた本命への憂さ晴らしだったり
たたの流行りものみたいに

何でも早いうちに得てしまうと
まだ先にあるものまで全部
触れてもいないのに
つまらないんじゃないかって

だから結局
今がそうなのかもしれない
今だけかもしれない
バスケ以外
あんた以外
ひきつけられるものは

嬉しいような残念なような

ただ
一つでも
それが見つかっただけ
俺はきっとよかった
多分
きっと
そう思う


「オイ黄瀬ェ」
「うお、なんっスか?」
「殴らせろ」
「いくらなんでも理不尽過ぎっしょ」
「ま、そらいんだけどよ」
ああ、今泣いて帰った子見たのかな
茶化すタイプだと思ってたんスけどね
「どうかしたんスか?」
「お前午後暇だろ?」
「何で決定してるんスか」
「体育館開いてんだよ」
「え?試験中って閉まってるんじゃ」
青峰っちは指を4つ
「マジっスか?」
「おうよ」
「行く、行きます」
「おうよ、来い」
嬉しいような、寂しいような
いや
今は
あんたと笑って
はしゃいで
これで満たされるなら
それで十分
充分


他に目もくれない癖に
ごめんの度に
もしかしたらって
思い出す
そういう道もあるってこと
考える
そしてまた忘れたころに
やってきて繰り返す
ごめんね、と