惚れた弱み

























「青峰ーっち!!」
「うっせぇ重いっ」
背に思いっきりダイブして、横から覗き込む
「俺褒められたんスよ。
赤司っちがね、この前の試合動きよかったって
もー俺やばいんじゃないっスかね?
この調子で青峰っちに追いついちゃったりして、って、お?」
「・・・・」
と振り向きざまにキスされ
「ちょっ、と」
「うっせ」
その隙に離れて行った
如何なものか、と


「くそー、青峰っちかっけーよ」
「・・・・」
パタっとわざとらしく黄瀬君は膝をつく
「助けて黒子っち」
「助けませんよ」
「はは」
「というか、若干照れてる青峰君が気持ち悪いです」
「えーいいじゃないっスか」
「他所でやってください」
「んじゃ、伝えとくっスよ」
と、悪びれも無く青峰の元に向かう
「・・・嫌味だったんですけどね」
「それだけ打ち解けた、ということかな」
当のキャプテンは呆れ顔で言う
「良いことですか?」
「測りかねる」
「原因は赤司君じゃないですか」
「裏目に出たって?」
「どうですかね」
「差し支えなければ構わないさ」
「そうですか」

少し扱いが面倒になったっと感じる
「・・・犬まで慕え、かな」
「何ですか?」
「自分を慕うならそのペットまで、関わるもの全てを慕えという諺だ。英語圏のね」
「それはまた、原文だとなんて言うんですか?」
「そのままさ、Love me, love my dog.」
「愉快な響きですね」
「全くだよ」

1 on 1の最中、黄瀬君が手を振る
「あ、赤司っち俺次も頑張るっスよー」
「力むなよ」
「わかってるっス」


「別に」
「ん?」
「嫌ってはいませんよ、得意じゃ有りませんけど」
「なら良い」
溜息をつく
「お前の心配もしているさ」
「僕ですか?」
「関わるもの、に相手も含まれると思わないか?」
「・・・・・」
相手って
「さて、時間だな。青峰、黄瀬そこまでだ、練習再開するぞ」
「うぃーっす」
「あ゛?俺休んでねーよ」
と、バタバタ青峰君が飲み物を取りに行くのも
黄瀬君が近づいて来てるのも
目では見えていたけど
「黒子っちー、次俺ら一緒っスね?」
「あ、ええ」
「仲良くしろよ」
思考回路まで届くのは君ばかり
「・・努力します」
「どうかしたんスか?」
「・・・・不本意ですが、君と同じです」
「ん?」

お互い
随分な人に惚れたものだ、と