いっそのこと

























突然の突然
青峰っちの疑問は脈絡なく
意味も無く始まる
「お前取り巻きん中に彼女いんの?」
「へ?」
「いねえの?」
「ああ、そりゃファンっすからね、皆平等っすよ」
「へー」

自分から聞いておきながら、
特に興味が無いと返事する
「いきなりどうしたんスか?」
「お前女に囲まれてる割にそんな楽しそうじゃないよな」
「そっすか?好きとかってより大事とは思うっすけどね」
「へー」
「何か珍しいっすね、青峰っちがそういう話すんの」
「あー、つかクラスに彼女出来た奴いてよ」
「お、めでたいじゃないすか」
「それがなんつーか、黙っててもスキップしてるみてえな」
「はしゃいでるんすね、わかるっすわそれ」
「すげえイラつくんだけど」
「はは」
「お前あんまいらつかねえなって」
「え、それ若干はいらつくってことっすか」
「当然だろ」
「酷いっすよ、俺は青峰っち超かっけーと思ってるのに」
「お前に言われてもなぁ」
「何スかそれ、俺すっげえ尊敬してるし、青峰っちがバスケしてんの憧れて入ったんすよ?」
「知ってんよ」
「俺の愛が伝わってないんすかー」
なんて、わざとらしく言うと
勘弁しろという顔で
「やめろうぜえ」
と、一蹴される
「はは、まあなんつーか、今は彼女作るより」
「っと」
持っていたボールを青峰っちに投げた
「こっちのがヤバイんで」
「はっ、当然だろ」
しかしまあ、
「色気無いっすよねー、ま、俺はいつでも彼女作れるんで」
「ぶっとばすぞ」
「冗談っすよ」


「確かに二人共デートより1on1とっちゃいそうだもんね」
「さつき」
「桃っちどうしたんすか?」
「もう体育館閉めちゃうよ」
「あー?もうそんなか」
「ちぇー、もうちょっとしたかったなー」
「明日もあるんだから、二人ともゆっくり休んでね」
「平気だっての」
「どうせ青峰っちは重役出勤の上さぼるっしょ」
「まーな」

苦笑しながら言う
「ほんと二人の彼女には同情するなー」
「酷いっすよ桃っち、俺結構モてるんすよ?今日だって」
「オイ黄瀬今すぐだまれ」
「ちょ」
「ほらほら早く片付けて」
「・・・うぃーす」
「わーった」

部室に向かっていると
「もういっそのことさ」
「あ?」
「ん?」
「・・・・・なんでもなーい」
「何だそれ?」
「どうかしたんすか?」
って
「独り言ー」

俺もそう思う
いっそのことって