結局の所




























負けたくない
負けてほしくない
勝ちたい
勝ってほしい
何回も何回も繰り返した

負ける度悔しくて
勝てないことが嬉しくて
越えたくて
越えたくなくて
だって勝ってしまったら
次は?
俺の次はどこ
またあのつまらない時間に戻るのはやだ
そこに青峰っちを置き去りにしても
俺はって
思い直して
それでも答えは出ない
勝ちたくて仕方ないのに
負けたくないのに
それなのに
結局
負けて
悔しいのに
安心して
悲しいのに
嬉しいとか
今の俺は全部かけたのに
それでも尚
整理がつかないって
だったら俺はどうしたいんだろう



規則的にボールを突く音
膝のバネで適当に
入らなくてもいいけど
なんて緩く放ると
ネットをくぐる
落ちて跳ねる音
少しずつゆっくり
最後に止まる頃には

「何だかなあ」
「わり、寝坊した」
「もー遅いっスよ青峰っち」
「おー」
「・・・」
ベンチに座る
「ちょっと」
「あー眠い」
「何時に寝たんスか?」
「わかんね、気づいたら朝だった」
「昼っスけどね」
「おー」
ボールを取りに行こうか
「ま、俺もちょっと休むっス」
「そーか」
ベンチにおいていたスポドリを掴む
「あ、」
「どーせお前のだろ」
「そうっスけど」
「ケチケチすんなって」
「あんたいっつも飲みすぎなんスよ」
あ、もういつもとか、大体とかじゃないのか
「はー」
「おっさんか」
一頻り飲み終わったようで
手を伸ばす
「んあ、何?」
「あんた何やってんだよ」
その手を握られた
「違えの?」
「違うっスよ」
「ふーん」
「何でまだ飲むの!?」
「んー」
飲み干す気じゃ
「ちょっと青峰っち」
握っていた手の指と指と絡める
「え?」
「はー飲んだ」
「え゛!?」
「さてやっか」
「ちょっと」
青峰っちはボールを拾う
「やんねーの?」
「やるっスよ、やるっスけど」
「あ、やっぱタンマ腹痛え」
「ばかじゃねーの」

変わったようで結局
根っこは何も変わってない
あんたも俺も

「うわ横腹超痛え」
「何やってんスか」
「あー」

気になったり気にならなかったり
結局の所
言えないもやもやは
ずっと付いてまわるんだろうなって

「さっさと復活してよ青峰っち」
「おー」
「早くバスケしよーよ」
「おう」

その後また、考えるから