こっちの都合


























「青峰っち誕生日じゃないっスか」
「おー」
「何かほしいもん無いんスか?」
「あー、」
「・・・・・」
「写真集」
「俺の!?」
「何でだよ、マイちゃんのっ」
「・・・・・・」
「んだよ、お前の時も欲しいもんやったろ」
「そーだけど」
「ま、何でもいーわ」
「どーなんスかそれ」
「つかお前より実用的」
「なんで?」
「欲しいっつーから指輪やったのに、仕舞いこんでつけやしねえし」
「だって失くしたらやじゃないっスか」
いざつけてみたら、
目に入る度にあんたのこと思い出すじゃん
「女か」
こんなん女みたいなもんだろ
と、聞こえない程度に掃き捨ててみる
「あ?」
「なんでもないっスよ」
青峰っちは興味も無いテレビに視線を戻す

あんた女に嫉妬するとか想像できるのかよ
とか、
言ってやろうか
って
倒れるみたいに横になって
手を伸ばす
ゆっくり
手を伸ばす
別に空に伸ばしてるわけじゃないから
当然届くんだけど
当たり前なんだけど
服とか腕とか掴むなんて出来ないから
「いて」
「・・・」
結局軽いこぶしをぶつけた
「何?」
「別に」
視線がこっちにくると
すぐ逸らしてしまう
「面倒くせえな」
「・・・」
そんなこと知ってる
自分で自分が面倒くさい
また視線が離れるけど
今度は左手をくれた
そんな優しさに腹が立つ

触れて撫でたりしていたら
手を握られた

「結婚でもする?」
「・・・何馬鹿なこと言ってんスか」
「何ビビってんだよお前」
「だって、」
「どっかの国いったらできんだろ?テツ言ってたぞ」
「・・・」
そんなちょっとコンビニ行くかみたいな言い方で
馬鹿なこと真面目に言うなよ

「馬鹿っスか」
「つーか、お前安心するなら何でもいいよ」
「あんたどんだけ惚れさせるんスかっ」
「はは」
テレビ見るふりは飽きたのか、覆うように被さってくる
「重たい」
「嘘つけ」
「あんたそんなんでいいんスか」
「いんじゃね?」
「何だよそれ」
「んー」
「じゃあ、やっぱ写真集にするっス」
「いらねーよ」
「あんたさっき要るって、ん、ちょっと」
一日一緒に居るだけで
何もしてないのに
ちょっとケーキ食べたくらいなのに
それだけじゃん

「つか何か言うことねーの?」
「・・・・・おめでと」
「ん」
「・・安上がり」
「良いことだろ」
「やっぱ何か上げるっスよ」
「ふーん」
ぐしゃぐしゃに頭を撫でられる
「ちょっ、と、も」
「ま、何でも貰ってやるよ」
「・・あんた、またそういうこと言うし」
「はは」

いいよもう
どうせ俺が、贈りたいだけなんだから