約束事


























あきらめると言われたとき
心臓が軋んだ
これでもう
誰も
居なくなるって
結構
ショックだった

実際
そうではなかったけど

それでも負けて
泣いて
立てなくなってるのを見て
悔しがる様を見て
まだ追いかけてきてるのに
手を伸ばすのは俺じゃなくなって

いつもの
あの頃の
噛み付いてくるような様な
次はって
いつもの
あの頃の
負けず嫌いなあれ

「青峰君」
「・・あ」
「もう、何で先に帰っちゃうのよ」
「うるせーな」
「・・・」
「・・・」
「・・帰らないの?」
「帰る」
「そ」
「・・・」
さつきは隣に座り込んだまま動かない
放っとけばいいのに
ガキじゃねんだからよ
「焼き芋食べる?」
「いらね」
「そ」
「・・・」
「きーちゃん強かったね」
「・・・」
「強くなってたね」
「・・ああ」
言葉を選んでいるのがわかる
なんとなく
長い付き合いだから
「危なかったでしょ」
「誰が?」
「ふふ」
「・・・」

いつもの
あの頃の
それが
いつの間にか
楽しみになってたんだ

「青峰君」
「あんだよ」
「・・は負けないってよ」
「誰が」
「きーちゃんがっ」
「口ばっかじゃねえか」
「そうかな?」
「・・・」

けど
それでも
それが欲しかった
いつものそれを
いつの間にか待ってた

「っし」
「帰るの?」
「おー」
「そっか」
「・・んだよ」
「別に?」
「・・・」
「なんでもないってば」
さつきの手から焼き芋を奪う
「腹減った」
「ちょっと要らないって言ったじゃん」
「・・・帰るぞ」
「もー」

今はそれだけでいい
次はっていう
その約束があれば