勝手我侭
























泣いて床たたくのを見て
ほんの数ヶ月前なら
膝を突いて立てなくなっても
手をひいてやれたのに
肩を貸してやれたのに
少しくらいなら声をかけてやれたのに

初めてついた点差も
まだ自分が足りないと悔やむのも
諦めない目も
悔しいと流すのも
それ全部もって追いかけてくるなら
まだ
ここに居られる
まだ全て捨てずにいられる
バスケしかない中で
まだ息はしていける

「青峰君」
「あ、お前いつ入ってきた」
「なんで先に帰っちゃうのよ」
「いいだろ別に」
「良くないっ」
「あーそ」

もっと強いやつとやりたい
次の成長を楽しみにはするけど
負ける気がしないのは変わらない
最低なこと考える
いつも

「試合終わって、ちゃんとストレッチしたの?」
「したした」
「嘘ばっか、もう起きて」
「いいから、ほっとけ」

人を
傷つけることばっか考える

「もうっ」
「いっで、何すんだよ」
頬を両手でたたかれた
流石に目も覚める
両手を引っ張られるけど
力を入れなくても、さつきには起こせない

「どうやってもいいから」
「・・」
「なにやってもいいから、体は大事にしようよ」
「・・」
「バスケ出来る体でいようよ、ちゃんと」
「・・・」
泣かせる気なんてないのに
怒らせるつもりもないのに
自分がしんどい分位
他人に押し付けたくなる
「ねえ」
「・・ああ」
自分しか居ないから離れて
心配されんのも面倒なのに安心して
何もできないことが
こんなに
しんどい

「ちゃんと腕伸ばすっ」
「へーへー」
お前には俺が
一体何に見えてんのか
誰も居ない所で眠りたい