ライクの次



































どうにも下手くそで
すぐ好きを混同してしまう
人も物も時間も全部

欲を言えば
やっぱり俺を選んで欲しかった
俺じゃ、青峰っちに勝てないって言われてるみたいだから
辛かったことも、楽しかったことも
俺だってバスケ好きなことも
全部無かったみたいな顔をするから
悔しかった

そんであの時
視線を合わせず謝られたことが
どうしようもなく寂しかった


「僕は、黄瀬君は黄瀬君として好きですよ」
「・・・・・」
好きで、仕方なくて、追いかけてたのが、
もう何だか分からなくなってきて
「青峰っちに勝ってないのに?」
「青峰君を基準にすると、大抵の人を嫌わないといけませんね」
「はは」
「僕はバスケが好きなんですよ」
「俺もっス」
だから余計に俺は選ばれない
って気がする
今日はなんだか上手く考えられない
「いつも不安気でしたが、好意だと思ってましたよ」
「・・・」
視線は俺に向けて
でも、ちょっと遠くを見てるようだった
中学の頃は
単純で簡単だった
ただ一緒につるんで
バスケして、馬鹿やって、笑って
たまに触れれば
それだけで充分だった
あの頃は
今も同じだと思っていた

「僕がいなくなって、追いかけてくれたのは君じゃないですか」
「だって、それは」
「試合だって、何度も見に来てくれたじゃないですか」
「当然っスよ」
「諦めなかったじゃないですか」
「当然、スよ」
なのに
自信が薄れてく
今は
何のためだったのか
何で引き止めたかったのかもわからない
バスケなのか、青峰っちへの憧れなのか、
本当に黒子っちだったのか
今は
わからない
それ位ぐしゃぐしゃなんスよ
やっぱ今日はだめだって
しゃがみ込んだ

「そういえば、ここ、近くでストバスできるんですよね」
「・・・・」
「ほら、バスケできますよ」
「・・・・」
「ね、黄瀬君」
ボールで頭をぐりぐりとされる
「黒子っちー」
「黄瀬君、今日僕のこと初めて呼びましたよ」
「へ?」
「珍しいですね」
そんなに自分のことばかりで、
いっぱいっぱいだったのかと思うと
「う、何か更に情けなくなってきたっス」

「黄瀬君」
「・・・」
「前に最後といわれた時、ちょっと寂しかったです」
「最後?」
「最後に僕とバスケが出来たって笑った時です」
「・・・・」
「自分で離れておきながら勝手ですが」
「・・・俺は、間違ってないっスかね」
「わかりません」
「黒子っちー」
うな垂れる
答えがほしいわけじゃないけど
言葉が欲しい
「俺黒子っちのこと好きなんスかね?」
「僕に聞かないでください」
黒子っちが珍しく声を出して笑う
「だって、もうぐしゃぐしゃなんスよ」
「僕は好きですよ」
「!!」
「バスケ」
「え!?」
「しましょうか」
「あ、はいっす」

そう言って黒子っちは俺の手を取る
その体温を感じるだけで
何だこれ
手を握っただけなのに
それでこんなの
馬鹿みたいに
「好きっス」
「そうですか」
「俺黒子っちが好きっス」
「はい」
「バスケも大好きっス」
「僕もです」
まだ二文字にしか出来ない気持ち
この先への整理

「いっぱいバスケしましょうね」
「ん」
「黄瀬君」
「ん?」
黒子っちの手を握り返すこともできなくて
ほんと情けないのに
嬉しくて
「好きですよ」
「・・・俺もっス」
今はこれが精一杯