真似っこ



































体育館の横の扉から外を眺める
涼しっすスね
そうですね
日が沈んで、夜風で汗が冷えていく
あとは、片して上がるだけ

座ったまま伸びをする
「・・・あー」
「どうしたんですか?」
「いや、何か、、、」
「?」
「何かこう、爆発したい時ないスか?」
「・・」
「・・・えと」
あれ?返事無い
てか、すっごいキョトンとしてる
「・・・」
「・・やっぱ、なんでも」
「あります」
「・・」
「ありますよ、爆発したい時」
「そっスか」
「ええ」
何がというわけでも
不満があるわけでもない
ただ、何か
なんとも言えない何かを
どう表したらいいのか
あんまり夜風が冷たいから
膝を抱えて
黒子っちを眺める
当人はまっすぐ外を眺めていた

「黒子っちー」
「はい」
「俺青峰っちに勝ちたいっス」
「そうですね」
「勝ちたい」
「はい」

「黒子っち」
「はい」
「・・・」
「?」
「・・・」
「・・・」
視線に気づき
目が合うと
薄く笑ったような気がした
黒子っちは視線をまた外に戻す
俺も外に視線を移した
やっぱり風が冷たい
別に弱音を吐きたいわけでもない
ざわざわして仕方ないだけで

「・・・黄瀬君」
「ん、なんスか?」
黒子っちを見ると
膝を抱えて、首を少し傾げてこちらを見ていた
「・・」
「ん?」
「・・何でもありません」
「え〜?」
「真似してみました」
「何をっスか?」
「君を」
「・・・そ、スか」
その視線に耐えられず俯く
たったそれだけ
風が気持ちいい
「黄瀬君、真っ赤ですよ」
「知ってるっス」
情けないほど骨抜きっスよ