これから


























「お前も飽きねえな」
「そうですか?」

たまに呼ばれてここに来るのも
まだ違和感が残るけど
結局
それでも来るのは
好きだから
バスケも
この空気も
それ以外も

ストバスは中でやるのとは違う
ドリブルする時の跳ね方
ボールの荒れ
ジャンプするときの膝の感覚
「一人でバスケするのって、ちょっと寂しいじゃないですか」
「・・・」
「それに今は、毎日青峰君とバスケできないですからね」
「・・・」
ズキっと小さく
また痛む
「ふふ」
「テツ」
「何ですか?」
「そのちょいちょい笑うの止めろよ」
「どうしてですか?」
「・・・」
俺のせいでもあるから
強くは言えないことをテツもわかってるから
「僕は気にしてないんですけどね」
「・・・」
「バスケはどうですか?」
「・・楽、しい」
「それは良かったです」




二人会話には
少しだけ入りづらい時がある
ストバスの入り口付近
柵前の木の陰
ここだと多分二人には気づかれないかな
夜風に揺れる髪を手で梳く
「どうしようかな〜」
「・・桃っちー久しぶりっスね」
「あ、きーちゃんも?」
「黒子っちからここに居るってメール来たんで」
「えー、テツ君からメール来たのー?ずるいー」
「なーに言ってんスか」
「ふふ」
「声かけないんスか?」
「んー、もうちょっと」
そっとしておきたい、かな
「ふーん」
「・・・」
「そっすか、じゃあ」
そう言って座り込む
「きーちゃん?」
「桃っちのお話相手になってあげるっスよ」
「え」
「そんで、最近黒子っちから来たメール見せてあげるっス」
「わーほんとにー?見してー」
「はは」
一緒にしゃがむ

きーちゃんが送った写メに対する返信
ほとんど無視されるとか
一言しか返ってこないとか
「しかも、これ送った時の返事がそうですかって酷くないっスか」
「テツ君らしー」
「もうちょっと有ってもいいと思うんスよ」
そんなやりとりと
たまに昔話と
そして今と

「きーちゃんはホント優しいね」
「んーどうっスかね、誰でもってわけじゃないっスよ」
また
「たまにね、ホントたまにだけど」
「ん?」
「きーちゃんだったら、ってね。
ほんっとたまにだけど」
「あれ?ちょっと悪意を感じるっス」
「ふふ、嘘だよ」
「そーっスね、そしたら美男美女カップルっス」
「もう、自分で言っちゃうんだもんなー」
「さて、そろそろ声かけねっスか?」
「ん、そうだね」
「黒子っちと青峰っちばっかりずるいっス」
「うん」
「桃っち」
「なあに?」
「俺もたまに思うんスよ」
「なにを?」
きーちゃんは何も言わず
ただにかっと笑う
「なんつって」
「もー」
またそういうことする



「あ、お前ら遅えよ」
「こんばんわ」
「テツくーん」
「桃っちとおしゃべりしてたんっスよ」
「お前は、女子か」
「男の嫉妬は見苦しいっスよ、青峰っちー」
「テツ、イグナイト」
「照準は顔面です」
「ちょと、まっ、桃っち止めて」
「えー?知〜らない♪」
「桃っちー」
「覚悟しろ黄瀬ぇ」
「行きますよ」
「ちょっと、二人ともマジで怖いから」
「きーちゃん頑張れー」
「それ、心がこもって無いっスよー」


懐かしく思いながら
戻れないと寂しみながら
だから楽しくある今考える



じゃあ、これからは?