万年片思い





















体育館の扉から少し外に出て風にあたる
冬の手前は風が冷たくて
汗がゆっくり冷えていくのが気持ちいい

あんまり外出ると風邪引くよ?
休憩の間だけっス

甘い香りがする

「きーちゃんて雰囲気かわったね」
「そうっスか?」
「うん、バスケ入る前ってモデルやってるって話とか。なんでも出来るとか、鑑賞用って言ってたもん」
「なにもんスか俺は」
「最初ファンとかすごかったんだから、でも最近楽しそう」
「楽しいっスよー」
「友達も言ってたよ、変わったって。
なんかずっと上の方に居たのが、降りてきたみたいって。だから告白されるの増えたんじゃない?」
「ふーん、最近おさまったんじゃないっスかね」
「あー、それはねえ、きーちゃんってば付き合い悪いでしょ」
「え」
「それにしょうご君が、ね」
「あー、どっから聞きつけてくるんスかね、あんにゃろ」
一々寄ってきた子捕まえやがって
「きーちゃんも青峰君と一緒でバスケばかだし、」
「えー?」
「褒めてるよ」
「ほんとに?」
「うん」
それだけじゃないって言ったら聞いてくれんのかな
「そんなわけできーちゃんっ」
「うお、はい」
「嫌だったら答えなくていいからね、きーちゃんってどんな子好きなの?」
あ、もしかして
なんて期待するわけもなく
「そういうことっスか」
「ごめん、クラスの子から頼まれちゃった」
「そうっスねー」
そんなの適当に返していいのに
けど、なんか言っておけば、
この先も桃っちが面倒な思いしないだろうし
例えば髪が長くて、心配性で、一生懸命で
笑ったり泣いたりが可愛くて、とか
「バスケが彼女ってのは流石に寒いっスかね」
「そうだね」
「じゃあ、束縛しない子で」
「あ、もてる人っぽい」
「なんスかそれ、雑誌のインタビューとかも大体一緒っスよ」
「青峰君とかそういうのぜったい言わないよ」
青峰っちは巨乳って言いそう
まあ、あれはあれで結局興味無さそうだけど
「桃っちはどうなんスか?」
「え、私はねー、なんかいつもは目立たないのに試合になると・・」
はいそれ黒子っち
と、語り続けてる桃っちの髪を梳く
「ん、何かついてた?」
「いや」
「・・・きーちゃんに髪触られるとドキドキする」
「それはいいこと聞いたっス」
「えっと」
「ん?」
もっとドキドキしてください
「もう、きーちゃん」
「えー、なに?」
撫でてた腕をつかまれ、下ろされた
あーあ
「もー」
「桃っち?」
と、両手で頬を押さえる
「ちょっとふくれてる?」
「いいから、もう、早く行って」
背を両手で押される
「ごめんって。まだ休憩中なんスけど」
「もう、きーちゃんのバカっ早く行って」
「わかったってー」
まだまだ叶いそうにない