嫌い嫌いも
























「紫原っちお疲れっス」
「だるいー」
休憩中、体育館の壁にもたれながら、
ずるずると座り込む
「うは、それどっから出したんスか」
「え〜?」
汗だくで水分もとらずに、
スナック菓子を貪りだす
首を捻りながら見つめられる
「なんスか?」
「んー」
「?」
「黄瀬ちんもさ、そんなにバスケ好きじゃないでしょ」
「・・まあ、そうっスね」
そんなに、
は確かに
「だよね」
「けど、こうやってつるんでるのは楽しいっスよね」
頭の中、バスケしかない人達に視線を送る
「そうなんだよねー」
「この面子だから楽しいんスかね」
「かもねー」
「けど、できないよか出来るほうがいっスよね」
「そうそう」
「でも、」
「んー?」
「ちょっと羨ましいっスよね」
「・・・・」


けどそれだけで
こんなきっつい練習耐えられるはずないから
続けられるはずないから
視線を紫原に戻す
「・・・」
「・・・んー」
返ってきたのが肯定みたいだったから
満足して
「ね、」
「黄瀬ちんも食べる?」
「はは、じゃあ1個」

こんな俺も
君も
きっと
いつか
もしかしたらもう
惹かれて止まない日がくるかもしれない
いつか
まだいつかの話