Just wait
























右か左か
前か後ろか
沢山有る中から一つを
すぐに選べるように
それが正しくても間違っていても
選ぶ勇気が欲しい

確信が欲しい

「緑間っち」
「なんだお前か」
「何スかその言い方」
「特に意味はないのだよ」
足が勝手に動く
頭を使わずに心が勝手に動かす
「引退してからもずっと自主練スか」
「当然だ、相変わらずここは使われる頻度が少ないからな」
「そっスか」
第四体育館は相変わらず
どこからも隔離されてるみたいだった
「何だ?」
「ちょっと話してもいいっスかね」
「独り言ならな」
「はは、ちょっと相槌ほしいかも」
「・・・邪魔にならん程度になら返してやるのだよ」
ちょっと、失敗した

「ここどうなっちゃうんスかね」
「場所は変わらん、だがもう数ヶ月で誰も居なくなる」
言おうとしてることが、纏まってないこと
ばれてる様な気がして
やっぱ苦手だな
「黒子っちは辞めちゃうし、青峰っちは来なくなるし」
「あいつらの居ないバスケはつまらないか」
「まあ」
「違うだろう」
「・・・違うって」
「お前は本来、バスケが楽しいわけじゃないだろう」
「そうでもないっスよ、最近は」
と、言葉が続かなかった
最近、今
「あいつらと過ごせないことがつまらないのだろう」
「不純、に見えるっスかやっぱ」
「続ける理由はそれぞれあるのだよ、俺が続ける理由をお前は気にスるか?」
「しないっス」
「そうだろうな」
緑間っちの言葉は真っ直ぐ聞こえる
遠慮なく、事実だけをただ真っ直ぐ

「二人ともどうスるんスかね」
「黒子はわからん、が青峰はあれで責任感のある男だ、
お前や黒子を置いて辞める事はできないのだよ」
「・・・」
練習をサボりだしてからも試合は必ず出ていた
それはバスケを好きでいたいからだろうなって
「そもそもあいつがバスケから離れられんのだからな、
青峰にはお前達を巻き込んだ責任がある。」
「巻き込むとか責任とか、そんな大げさっスよ」
ただつるんで居たかっただけだし
バスケが無くなるだけで
こんなに距離が出来ると思わなかった
そんな薄っぺらいものだなんて
思わなかった
「お前はまだマシだろう、黒子はもはや誰とも口を聞いていないらしいからな」
「そう、スか」
離れたいって人を追っかける程
何に足しても執着できないのは
結局今も変わらない
「お前はなぜ続けているのだよ」
「・・・」
「青峰や黒子のようにバスケ好きなわけでも、
紫原や赤司とも違う。お前が続ける理由は何だ」
「俺は・・」
そう言われてすぐ浮かぶのが青峰っちの背中で、
やっぱ隣に黒子っちが居て
それで
「俺、は・・・」
「・・・」
「緑間っちは」
「・・・終わったのだよ」
「・・」
「今日の自主練はここまでだ」
話を切り上げろってことか
「っスか」
ぶれないな、ほんと

「例えお前達が辞めても、あいつは辞めないだろうな」
「それは」
それじゃあ青峰っちは
一人で
独りで続けるんスか
「今の日本で、学生の俺達がバスケする環境は少ない」
青峰っちはバスケが好きだから続けんの
ほんとにそれだけなの
俺みたいに不純はねえの
だって
じゃなかったら、強くなりたいだけら
俺も黒子っちも置いてくだろ

「お前がここに来た理由は何だ?」
「・・誰か、居るかもって思ったんスよ」
第四体育館なら、もしかしたらって
「だったら、お前が欲しい物は、、、自分でどうにかしろ」
「ぶん投げ過ぎっス」
「追うのは慣れているだろう」
「人の気も知らないで」
追いつけないのは苦しいんスよ
「だが、楽しいだろう」
「・・・・そうっスね」
そうだった
楽しかった

「まさか緑間っちに励まされる日が来るなんて思わなかったっスよ」
「勘違いするな励ましてなどいないのだよ」
「じゃあ、俺が勝手に励まされたっス」
「だからお前は・・」
またダメとか言われると思ったけど
「ここまで来たのだろう」
「・・うん」
そうだよ
だから続けてきたんだ
「だったら、じゃあ理由は追いつきたいから、かな」
「誰もそう簡単に変わらない、お前はバカみたいに追いかけてればいいのだよ」
「ひっで」
けど、ま、そうかも
追いかけて、捕まえて聞くのがきっと一番早い
「あんたのぶれないさには、恐れ入るっスよ」
「人事を尽くしているからな」
「そうでした」
「じゃあ俺もちょっと尽くしてみるかな、人事を」
「あとは天命を待つのみ」
「うん」
うん
まだ
頑張れるよ