カウントダウン
























少しずつ進んで行って
少しずつ見えなくなって
確実に何かが増えて
そして何かが減っていること

「赤司っちは何でもわかるでしょ」
「そんなわけないだろ」
「でもわかるでしょ」
「・・勉強のことなら、お前らよりわからないやつを探すほうが難しい」
「そうじゃないっスよ」
「知ってる」
「ほらー」
「出来ない、わからないというより、興味がないだけだろ」
「そうそう、やれば出来る子」
「やらないと意味がないけどな」
「ひで」
「事実だろ、興味なくてもやるやつは居るよ」
「んー」
「つまらないやりたくないなんて、子供の言い訳だ」
「そうっスけどー」
「子ども扱いするなといいながら、義務すらこなせないんだから」
「うわー、聞きたくないっス」
わざとらしく耳を塞ぐ

「部活も同じだ」
「ん?」
「でも義務じゃないからな、嫌なら続ける必要は無い」
「うん」
「逃げる権利も勿論ある」
「ん」
「けどお前みたいに逃げなかったから、それが自信に繋がる。諦めないやつがいるってことは、励みになる、必ず」
「なるっスかね」
「なるよ、ちゃんと」
机に腕を伸ばして
顔を伏せる
「赤司っちはホント大人っスね」
「社会的に見れば、既に働いてるお前の方が随分大人だと思うよ」
「そういうもんスか」
「そうだよ」
「赤司っちはなんでもわかる」
「・・・黄瀬は姉が居るんだったな」
「二人っス、キレると超怖い」
「ふふ、俺は兄弟が居ないから想像はするけど、実感はわかない」
「ふーん・・・・姉ちゃん欲しいっスか?」
「さあ、どうだろう」
髪を撫でられる
くしゃくしゃって
「俺ね」
「ん?」
「青峰っちも、黒子っちもすぐ意地悪するけど。よくやったとか、頑張りましたねとか言われるとね」
「うん」
「まあ、いいかなって思ったりするんスよ」
「転がされてるな」
「ええー、でもいいんスよ。なんか二人とも楽しそうだし」
「うん」
「二人ともバスケ嫌いならないっスよね」
「あいつらはここしか居場所が無いと思っているから」
「・・・バスケしてなかったら、俺達は他人っすか」
「それしか無いんだよ、あいつらは」
「ある程度の力でしか向き合わない人間には、理解するのは難しいだろう」
突き放されてるような気がして痛い
俺と二人と決定的に違う所だ
「そうっスか」
「ああ」
無理やりでも居場所に戻すってのは
救ってることになるんじゃなかって、思いながら
「黄瀬」
「はいっス」
びっくりして顔を上げる
「お前今日仕事だったんじゃないのか?」
「あ゛」
ある程度で出来ること
出来てしまうこと
つまらなすぎて、また忘れてく
でも、まだこれはマシな方
「行ってきます」
「ああ」
赤司っちは本を手に取る
教室のドア近くで呼び止められた
「黄瀬」
「なんスか?」
「今度、姉弟の話を聞かせてくれ」
「・・うん、いいっスよ」
都合のいい方に考えてみるけど
でも少しずつ確かに崩れていること