様の理由





「あれ?エミリじゃん、今帰り?」
「あ、カズ様vv」
「結構遅くないか?」
「そうかな?部活とかあったら、この位だし。」
「でも、今日なかっただろ?」
「うん」
部活はなかったんだけど、ボーっとしてたら。
凄い時間が過ぎてた。多分今8時くらい?
中山は今日用事があるって言って先に帰ったんだけど。
何か、今日はすぐ帰る気にならなかった。
「ま、別にいいけどな。」
「えへへ」
「暗いし、送ってやるよ。家どの辺だっけ」
「え?え゛大丈夫だよ。何かあったらすぐ走って逃げるし。」
「けど、女の子だろ」
「・・・・うん、ありがとうカズ様v」
昔から、あたし男子に混じって木に登ったり、
サッカーしたりが普通だったから。
なんていうか、やたら気恥ずかしい感じがした。
女扱いされて照れるのもどうだ?って感じだけど。
あたしにとっては、凄いことだったりする。

「あ、カズ様って、家どの辺なの?」
「俺?えっと、」
よっしゃ、チャンスっ
「この先の公園所曲がって、マンションなんだけど。」
「高いとこ?」
「どうかな、10何階かあると思うけど。」
「え?あれ、あのめちゃくちゃ高い(家賃が)とこ?」
「そんな高いか?」
「真っ白のだよね」
「あ、そうそう」
いや、まじ凡人からしたら、相当すばらしいとこですよ?

「そこで、姉ちゃんと二人で住んでんだ、」
「へ〜、、え?姉ちゃん!?お姉様!?」
「いや、お姉様って、、」
カズ様は笑ってたけど、こっちは笑い事じゃない。
だって、カズ様のお姉様なら絶対美人。
ハードル高そう・・・
「普通の姉ちゃんだよ、俺んとこ親海外だからさ」
「あ、そうなんだ。それで、お姉様と」
へ〜、海外か。う〜ん。どうなんだろ?

「ってか、様って。あ、そうだよ。」
「どうしたの?カズ様」
何がそうなんだろ?
「前から思ってたんだけど、何で俺のこと様付けなの?」
「ぇえ!?」
今更!?
「いや、普通にカズでいいじゃん」
「いやいやいや、」
そんな恐れ多い事できませんよ!
「何で様なの?」
「いや、え〜?今来ると思わなかった。」
そりゃ、カズ様を崇拝してるからvv
なんて言えるかよ、何の信者だよあたしは。

「なんていうか、尊敬してるというか、」
「俺大して凄いことできねえよ?」
「いや、そんなとんでもない、カズ様はマジ凄いよ」
「俺より、凄い奴っていっぱい居るじゃん。
ATなら、イッキとか仏茶とか」
「そういうんじゃなくて、なんていうかな」
これ告白とかする雰囲気じゃないしな、いや出来ないけどさ。
「あっ、カズ様。石渡にパワーストーン取られてた時の事覚えてる?」
これこれ、常にリストにはめてるこれ。
「ああ、窓から投げられたやつか」
「そう!それ、カズ様取り返してくれたでしょ?
あの時スッゴイ嬉しくて、あたし泣いちゃったでしょ?」
「嬉し泣きだったのか;;」
「うん。そういうカズ様だから。」
「どういう?」
「凄いなぁって、いつも思うんだ。」
「俺が?」
「うん、カズ様は凄いよ、頑張ってるよ。あたしはちゃんと見てるから。」
「何かはずいって///」
そう言って、カズ様はニット帽を深めにかぶった。
「まあ、そういうこと。カズ様v」
「おう」
なんて、言ってみたりした。





「じゃあな、また明日。」
「うん。ありがとう。」
家にはすぐ着いた。
寄り道する予定も無いし。
そんなに、面白い話はできないし。
そうやって、少しずつ前に進んでいきたい。
今日もそう思った。

だって、まだ本当の理由なんていえるはず無いから。