繋げた手

長かったようで短かったような、 結局いつもと変わらない1日が終わった。 「しっかりエスコートしてきなっ」と、 姉ちゃんに言われたけど、 俺って大丈夫だったんだろうか・・・ 別に今日がつまらなかったわけじゃないけど、 歩くたびにため息が出る。 夜の月を見ながら、ふと思った。 いつからだろう、声が聞きたいと思ったのは、 なんとなく、目に付く存在ではあった。 陸上で走ってる姿は、何度も目にしてたし。 言いたいことをはっきり言えてるところとか、 さっぱりした雰囲気とか、どこか確実に気になっていた。 今考えたら、夜王のときだって。 何だかんだいって、惹かれてたんだ、多分。 だから余計に気に入らなかったんだろうな。 気がついたら目で追ってて、 今日は笑ってるとか、照れてるとか、怒ってるとか。 そういうのが、気になる。 そばに居たくなる。 出来るだけ、泣かないで欲しいし、笑ってて欲しい。 でも、色んな表情を見ていたいって思う時もあって、 何か矛盾してる。 今日何度目かのため息をまたついた。 冷たい夜風がふれても気にならない。。 静かで、自分の歩く音しか聞こえない。 色々考えてたら、何か照れてきて。 少し早歩きになった。 今何してるんだろう、 今さっき家まで送ったばかりなのに、 こんなこと考えてたら、ホント末期だ。 携帯をポケットから取出して、 別段用事も無いけど、不在着信もメールも無い画面を見て、 結局ポケットに戻した。 「ん?」 携帯がなった。 ちょっと期待をしながら、ゆっくり取り出した。 エミリから、メールが来てた。 内容を見て、多分ちょっとにやけて、 何か急に走り出したくなって、 返事を返した後は、家まで思い切り走って帰った。 〜件名:カズ様へ 今日は送ってくれて、ありがとうございました!! 気をつけて帰ってください。 特に用事があったわけじゃないんだけど・・ 何か今メールしたかったから、送りました。 あと、今日凄く楽しかったから、また出かけたいです。 それじゃ、おやすみなさい!! エミリ 〜 些細なことでも、やたら嬉しかったりする。 だって、今声が聞きたかったから。