run+s そこは、いつも居心地がよくて、 一番いい試合を良く見れる特等席みたいな そんな場所で。 でも、私はなんだか落ち着かなかった。 そこが安全なのは、守られてるから。 一生懸命走るカズ様を助けられないのが、 すごく辛かった、 きつい思いをしてるのに、痛いのに、 傍にすら行けないことが、やっぱり嫌だった。 だから、今だって思ったから、必死に体を動かしたんだ。 がくがく震える足も、かすれる声も全部知らない振りして、 足手まといは嫌だから。 でも、実際頭はすごく痛いし、何してもめちゃくちゃ怖いし。 ほんと、死ぬかと思った。 今日も朝から、走りこみ。 もう慣れたこの道も坂もATがあると、まるで違う。 何て言うか、全然別世界のような。 見たことある景色なのに、違和感は拭えなかった。 「ふぅ〜、そろそろ時間だよね。」 今日は、8時にエリア集合で練習があるんだよね。 「よし!!頑張るぞっ」 「あれ?エミリじゃん」 「は!?え?カズ様っvv」 「一緒に行くか?」 「っはいvv」 「相変わらず気合入ってんなー」 「そう・・かな?いや私、皆より下手くそだし、しっかりやんないと!!」 っていうか、心臓やばいんですけど。 そういや、心臓って止まるまでの回数は、 皆同じってテレビで見たことある。 寿命縮まる;; 「ふ〜ん、そういや何でAT始めたの?」 「え?いや、、う〜ん。」 そんなん言えるわけないじゃん!!カズ様のお役に少しでも・・ 「お前かわってんな。」 「へ?」 やばっなんかキモかった!? 「この前さ、陸上始めた理由聞いたときもそんな感じだったろ? でも、凄いよなきついのに良く頑張ってるよ、お前」 「カズ様は?カズ様は何でAT始めたの?」 これ以上心臓早いと死んじゃうって!! 「ん?俺は、、えっと、、あれ?」 「?」 「やばっ何でだっけ?」 「カズ様も変わってるよv」 「う〜ん;;」 でも、私はなんとなくわかるよ。 カラスたちと一緒にいるときのカズ様すごい楽しそうだもん。 そういう時は、男の子っていいな〜って思うし。 「それまだ付けてたんだ。」 カズ様は私の手首にかかってる物を指差して言った。 「これは、すっごい大事だから。」 ってか、カズ様が幾度となく触った物ですから(笑) 「お守り?」 「ん〜もっと大事なもの。」 「へ〜」 「お、もうすぐ着くな。」 「うん」 「・・そういや、その怪我大丈夫かよ」 「え?怪我。あ、頭?」 「なんつーか、悪かった。俺不甲斐なかったし」 「え?え!?全然私頑丈だから、傷とかもないし。 そんなカズ様が気にかけることなんて、ないない!」 「いや、ほんと、ごめん。」 「大丈夫だって、カズ様ぁ〜」 何で?私カズ様守りたくて、頑張ったのに、 何で謝るの? そうしてるうちに、学校の門まで来ていた 「お?カズおっせーぞっ!!うらぁ必殺AT加速でエルボ!!」 「ぐはぁ、イッキテメっ死ぬって、、」 着いちゃった。 「あ〜あ、、」 「どうしたの?エミリ」 「うんにゃ、なんでもないよ」 そうだよ、ここは居心地はいいけど、 そりゃカッコいいカズ様も見れるけど、 殆ど会話なんてできない。 「エミリ!」 「へ?」 カズ様の声ならたとえ血の果てでも聞こえまっす 「ごめんな。」 ポンって頭叩かれたとき、何か泣きそうになってしまった。 不甲斐ないのは私の方だよ;; その腕を掴んで 「カズ様これで終わりっ謝るの終わり!!」 ちょっとびっくりしたみたいな顔して、 その後いつもみたいにニカって笑ってくれただけで、充分です。 「わかった。」 それで私は名残惜しいこと限りないけど、 その腕を放した。 「何かあったの?」 「秘密〜」 「何それ」 まだまだ、追いつけやしないけど、 でもエミリは世界で一番カズ様が大好きです!! 今日もエミリは走ってます!