Lost Kitty



































少女が泣いている
両手で顔を覆い
肩を震わせ
声を上げ泣いている

行きかう人は視線だけを向け
誰も声をかけることができず
ただ、ただ、見送る

誰かが、声をかけるだろう
親御さんが見つけるだろう
とか、そういった類の視線だけを向ける

人の群れから隔離される少女

顔を上げることも無く
一歩も動くことができない

そして、
ズボンの端を掴む少女
「オイ」
「・・・」
「なンですかァ」
「あのね、ミサカはミサカは、、、あ・・・・」

名を呼ばれたのだろう
少女は顔を上げる
女が駆け寄る
抱きかかえる

「はぁ、よかったーってミサカはミサカはほっと一安心してみる」
「・・・」

ぎゅーっとしがみついてくる少女
「なんだァ?」
「なんでもないってミサカはミサカはあなたにしがみついてみる」
「歩き辛ェから離れろ」
「いやーってミサカはミサカは駄々をこねてみる」
「・・・はあ」

はっきりした理由はないが、どうしても振りほどくことが出来なかった
ぎゅーとしがみ付く手を
どうしてもこちらからほどけなかった

「オイ、いい加減もう行くぞ」
「んー」
いやいやと少女は首を振る
「おら、あっちのアイスでも食ってろ」
と、適当に視界に入った店を指差す
「ん?あっ、三段アイスだぁ」
「腹壊すだろ」
「全く問題ないかもってミサカはミサカは憮然として言ってみる」
「嘘つけ」
「あー、全然信じてないでしょーってミサカはミサカはむっとしながら口を尖らせてみたり」
「いいけど落とすなよ」
「今度はカップにするから問題ないかもってミサカはミサカは未然に防ぐ方法を掲げてみたり」
「で、どれにすンだ」
「えっとね、チョコと・・・あ、あっちのキャラメル?の・・あ、ストロベリーも捨てがたいかもっ」
「・・・好きなもン選べばいいだろ」
「んーと・・・」

こいつもさっきのガキみたいに泣くのか、と考えたら
何でだがこいつだけは泣かせたくないなァ
とか
「決まった!!我ながら最高の組み合わせが出来たかもってミサカはミサカは自信満々で言ってみる」
「そら良かったなァ」
なんだか良くわかんねえ名前のアイスとコーヒーを一つ頼んで、
「オレンジジュースもっ」
「てめっ」



「んー♪超おいしいってミサカはミサカは幸せ指数がどんどん上がってくー」
きゃーとかわーとかよくわかんねえ声を出して打ち止めがはしゃぐ
「はい、一方通行」
「あ?」
「って、ミサカはミサカはおまけでもらったビスケットを1枚にあなたに差し出してみる」
「食えよ」
「半分こしたいのってミサカはミサカはあなたに手を伸ばしてみる」
引く気の無い手を目を見て
「・・・はいはい」
肩肘ついたまま、ビスケットに齧り付く
甘ェ、けどまあ、強烈な色で何味なのかもわかんねェアイス食わされるよりはマシだな
「あ、」
「どうした?」
視線の先を追うとさっき泣いていた少女が母親だろう女に抱きかかえられていた
「ああ、さっきのガキか」
「むふー」
「・・・・」
打ち止めは満足気にアイスを食べる
それをただ眺める
泣くなよ
と、ただ眺めてる

泣かせンじゃねェぞ、俺