cocoa




































ミサカは我慢できるもん
そばに居なくても
たまに会ってくれるから
声は電話で聞けるもん
出られなくても、必ず掛け直してくれるから
だから、大丈夫
大丈夫



大丈夫
だって、演算補助が動いてるもん
ちゃんと生きてる証拠
それに、あの人は負けないもん
大丈夫
大丈夫だよ



「我慢できるのにどうして流れるのってミサカはミサカはミサカに問いかけてみる」
妹達の声だって、沢山聞こえるのに
お話だって出来るのに
芳川や黄泉川がお話聞いてくれるのに
それでも
どうして寂しいのかな


目を閉じても中々眠れない
お月様を見ても眠くならない


今日のお月様は半分位
それでも真っ暗な部屋には十分な光が差す

「ミサカはとっても寂しいよ」
大丈夫
寂しい
大丈夫よ
でも、寂しい
寂しい



月明かりとは違う光と
入っていた中でお気に入りのメロディーが鳴る



「一方通行っ」
「・・起きてたのか」
「うんってミサカはミサカはあなたからのラブコールにご機嫌で返事してみたり」
「ガキが遅くまでおきてんじゃねェよ、つかラブコールだァ?」
「眠れなかったんだもんってミサカはミサカは膨れてみる」
「お前、泣いてたのか」
「・・うんってミサカはミサカは正直に答えてみる」
「そォ、か」
「・・・一方通行」
「なンだ」
「・ぁ・・・会いたいよってミサカはミサカは我侭言ってみる」
「・・・・・」
不安が一杯になってそれ以上何も言えなかった
会いたいと言ってすぐ会えないことも分かってるのに
ちゃんとミサカもわかってるのに

近くを救急車が通る
一方通行は返事をしない
サイレンの音が段々と近づいてくる
電話に驚いて止まっていた涙が
じわじわと込み上げて来る
頬を伝って落ちる
近づいてくるサイレンの音が、重なる

・・・あれ?
「一方通行、今、どこにいるの?ってミサカはミサカは布団から飛び出して窓から外を覗いてみる」
二重に鳴るサイレンの音が遠のいていく
「・・・下だ」
はっきりとは見えないが電灯の下に人影がある
「そこに、いるの?ってミサカはミサカは確認してみる」
「ああ」
「あ、あのね会ってお話できる?ってミサカはミサカは涙交じりで聞いてみる」
「・・ああ」
「ほんと?すぐ行くから、絶対そこに居てねってミサカはミサカは急いで準備する」
「待っててやるから、静かに下りて来い」
「うん、電話切っちゃダメだからね」
「わーったかた、急いでずっこけンじゃねェぞ」
「うん!!ちゃんと待っててよ」
「あー、寒ィからなんか着て来い」
「わかった!!」


急いで外にでてエレベータのボタンを押す
「早く早く!!ってミサカはミサカは足踏みしてみる」
「静かにしろって」
「だってー、あ、来たってミサカはミサカは飛び乗ってみる」
「ったくよォ」
「降りるからね、すぐだから絶対待っててねってミサカはミサカは再度念を押してみる」
「へいへい」
「着いたー!!ってミサカはミサカは大急ぎで飛び出してみる」
「早っつか、オイ、怪我すンなよ」
走って一方通行の元へ急ぐ
一方通行が見えてきて
もっと急ぐ
「一方通行っ」
「お前そのまま突っ込ンでくる気かァ」
電話越しの声が少し呆れてて
表情が分かる位近くになると、やっぱり呆れてて
もっともっと急ぐ
でも、少し笑ってる
「わ〜♪ってミサカはミサカはあなたに飛びついてみる」
「はあ」
溜息をついて携帯耳元から離した一方通行にダイブする
「あのね、あのね、ミサカは沢山お話したことがあるのってミサカはミサカは」
「わかったから落ち着けクソガキ」
一方通行はしゃがんでミサカの服を整える
「ちゃんと着て来い、だらしねェ」
「むーあなたに言われたく無いかもってミサカはミサカはちょっと不平を言ってみる」
「うるせェ」
「うわぁ」
フードを被らされて
それから、ミサカの濡れた頬をなぞる
「一方通行♪」
「あ゛あ?」

おかえりなさい、は言わない
帰ってきたのなら黄泉川の部屋に来ている筈だから
だから、多分今日はまだ帰ってきたんじゃないと思う

「お疲れ様ってミサカはミサカは労いの言葉をかけてみる」
「おお」
「むふふー」
「なンだァ」
「嬉しいのってミサカはミサカは踊ってみたり」
「相変わらずちょろちょろしてンなァ」
「ニヒー」
「ほら」
「ん?」
一方通行はコンビニ袋からココアをくれた
「温かーいってミサカはミサカは頬に寄せてみたり」
「コーヒーのついでだ」
「はっ、これはもしかして深夜デートってミサカはミサカはちょっと照れてみたり」
「・・・」
「あいたぁってミサカはミサカは久しぶりのチョップもなんだか懐かしく思ったり」
「ふん」


帰っても不安にならないように
もらったココアは半分だけ飲んで、持って帰ることにした

言いたいことも聞きたいことも沢山有りすぎて
言葉があちこち散らばるけど
一方通行は静かに聴いてくれる



「炊飯器はパンも作れるんだから」
「あいつは何目指てンだァ?」
「それはミサカにも謎かもってミサカはミサカは考えてみたり」



きっとまたどこかへ行っちゃうから、
だから、ミサカが眠たくなるまでお話聞いてね



「それからねー」
「まだあンのかァ」
「勿論ってミサカはミサカは当然のように答えてみたり」
「へいへい」


それからどれ位話たのか、目が覚めたら部屋の中だった
夢だったのかも知れないって思って
残しておいたココアを見つけて、一安心
そのココアにクマのストラップかかっていた

「次はいつ会えるかなーってミサカはミサカは楽しみにしてみたり」