can cannot...






































届かなくても伸ばすこと
難しくても言葉にすること
辛くても諦めないこと
とか
並べだすと多分キリがないけど
割と簡単なこと

まだ真夏には早くても
窓から入る風は生温い
構わず熟睡しているガキの
額に張り付いた髪を梳く
それは、俺ができること
「ん」
「・・・」


タオルで額の汗を拭う
これも出来ること
ほんの少し前は出来なかった事

たまに言葉にならない声を発したり
寝返りを打ったりして
それを只々眺めるだけ
理由をつけるなら
目が覚めて、移動するのがだるくて、暇だったから


眠っていても
目が覚めている時のように
表情がコロコロ変わっていく



生ぬるい風が止まった
決して暑くはないが、
涼しくも無い


打ち止めはまだ、起きない


近くに有った広告で、風を送る
これは多分、今できる様になった事


取りあえず、飽きるまで
風を送る



「・・・ぅ・・」
「・・・」

窓からまた風が入ってくると、
飽きるから手を止める


「んー」
「・・・」

あ、そろそろ起きる

「ぁ、一方通行」
「・・・」
「おはよーってミサカはミサカは伸びをしながら言ってみる」
「・・はよ」
これは最近出来る様になった事

「・・・ぁ、・・・ん?」
「・・・・」
「・・お絵かきの途中で寝ちゃったってミサカはミサカはしょんぼりしてみる」
「・・・ああ」
ミサカネットワークから寝る寸前の情報を引き出したんだろう
打ち止めが何だか良く分からねェ絵を書いて、
それを俺が当てる
繰り返している途中で、うとうとしだして
その内に昼寝に入ったんだった
「まだミサカ沢山書けるのにってミサカはミサカは残念がってみる」
「てめェが寝たんだろうが」
「だってーってミサカはミサカはぶーたれてみるー」
「・・・」
ゆっくり息を吐く


「あ、大変もう3時だよってミサカはミサカはソワソワしてみる」
「切り替え早ェ」
「ミサカにとってお菓子の時間はとっても重要なのってミサカはミサカは説明してみる」
「そうかよ」
打ち止めはさっさと起き上がって俺の手を引く
「早く早く」
「へいへい」
リビングのテーブルにクッキーが置いてあった
「きゃーってミサカはミサカははしゃいでみたりっ」
「・・・」
テーブルを過ぎて台所へ向かう
「でもでも、先に手を洗う事は忘れないってミサカはミサカは良い子のマナーを守ってみたり」
「・・・」
手を洗うにはまだ、背が足りないから、
台に上って手を洗う
「完了ーってミサカはミサカは勢い良く飛び降りってうわぁ・・」
「っ・・」
勢い良くバランスを崩す
倒れるガキを片手で受け止める
「・・・ぁ」
「ったく、気ィつけろ」
「う、うん」
「・・・・・・」
触れて、近くて
体温が伝わって
「・・・・?」
「あー」
この先はまだ、できないこと
踏み出せないこと
課題
「どうしたのってミサカはミサカは」
「さっさと立て」
「あ、うん・・・・」
「・・・飲み物持って来てやるから、食ってろ」
「はーいってミサカはミサカはお菓子に突撃っ」
「だから、気ィつけろって・・」
溜息を一つ
触れた手に一瞥を
あと少し
そのまま握り締める



出来ることと、出来ないことと、
それから、
出来るようになりたいこと